国内男子ツアーの年間試合数はピークのほぼ半分になった。その一方で、ゴルフを教える側の市場は形を変えて広がっている。PGAではティーチングプロ資格の会員がトーナメントプレーヤー資格の会員を上回り、インドア施設は増え続けている。ただし「教える仕事は儲かる」と言い切れるほど話は単純ではない。資格・施設・求人の公開情報を一次ソースでたどり、レッスンプロの収入と需要の実像を働き方ごとに切り分けて整理する。
インドアゴルフ施設は増え続けている。公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)の全国調査では、2018年度から2024年度にかけて施設数が約1.4倍になった(1,070→1,507、+40.8%)。2025年度は2,541施設に跳ね上がっているが、これはJGRAが「実態をより正確に把握するため」調査方法を変更したことによる不連続で、前年との単純比較はできない(下表の注記のとおり)。
一方で、教わる側の頭数が同じ勢いで増えたわけではない。公益財団法人日本生産性本部『レジャー白書2025』(対象年2024年)によれば、ゴルフ(練習場)の参加率は4.6%、参加者の年間平均活動回数は20.8回、年間平均費用は36.3千円だった。コース(参加率5.0%・年16.4回・年間154.7千円)と並べると、練習場は「回数は多いが単価が低い」市場である。
施設が増えても参加者が増えないなら、増える余地は客単価にしかない。定額制スクールの価格はそれを示している。ステップゴルフの表示価格は月額4,980円からで、単純に12倍すると年59,760円。白書の練習場年間平均費用36.3千円のおよそ1.6倍にあたる(59,760÷36,300≒1.65)。
この計算には限界がある。4,980円は最安プランの表示価格であり、白書の36.3千円は定額制利用者に限らない練習場参加者全体の平均である。それでも、「打席とボールを売る」商売から「通う理由を月額で売る」商売へ重心が動いていることは、価格の桁として読み取れる。
教える人の位置づけが変わったのは、この転換の裏返しである。 打席貸しの練習場ではレッスンは付加サービスだったが、定額制スクールではレッスンが会費の中身そのものになる。施設が増えるほど、コーチの席も増える。
業界紙も同じ方向を報じている。月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年2月号は、2021年10月時点で国内のインドア施設が1,265か所・前年比241施設増であること、拡大を牽引しているのが他業種からの参入であることを伝えた。同記事が「96店舗・会員5万5,000人超」と紹介したステップゴルフは、2026年8月3日時点の公式サイトでは160店舗(オープン準備中を含む)・累計会員110,032人と表示している。ただし「会員数」と「累計会員数」は定義が異なるため、この2つの数字から増加率を計算することはできない。
定義: 公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)調査研究委員会「全国練習場施設数調査」における『インドア』施設数の総合計(全国47都道府県)。屋内型のゴルフ練習場・シミュレーションゴルフ施設・インドアレッスンスタジオ等を含み、JGRA会員施設に限らない。調査方法は屋外と同一(会報誌の郵送返戻確認+インターネット・各地区連盟からの報告)。year は調査年度を表し、実際の調査時点は年度ごとに異なる(caveats 参照)。
注: 調査時点は 2018年度=2019年2月28日現在 / 2019年度=2019年12月10日現在 / 2020年度=2020年10月25日現在 / 2021年度=2021年10月20日現在 / 2022年度=2022年10月20日現在 / 2023年度=2023年10月31日現在 / 2024年度=2025年1月30日現在 / 2025年度=2026年1月30日現在。
注: 2020年度は5月調査(2020年5月31日現在、アウトドア2,443・インドア1,042)と10月調査の2回が公表されている。年次系列には各年度1回のみ採用する方針から10月調査を採用した。
注: 2019年度の数値はJGRA公式サイトに現存しないため、ゴルフ市場活性化委員会(GMAC)が原典(JGRA、2019年12月10日現在)を明記して掲載した数値を採用した。
注: 2020〜2024年度はJGRA公式ページの当時の版(Wayback Machine アーカイブ)から取得した。数値はJGRA自身が公表した総合計行。
注: JGRAは2025年度調査から「実態をより正確に把握するため」調査方法を変更したと注記している(インドア施設数の前年対比に大きな差異が出ている)。
注: 2025年度表の甲信越ブロックのアウトドア「計」欄(177)は都道府県内訳(18+37+62=117)と一致しない原典の誤記とみられるが、総合計2,259・2,541は都道府県内訳の合計と一致することを検算済み。
注: 経済産業省「特定サービス産業実態調査」「特定サービス産業動態統計調査」にもゴルフ練習場の事業所数系列があるが、調査対象・定義・屋内外の区分がJGRA調査と異なるため本系列には混在させていない。
注: 2025年度は調査方法変更により前年から+1,029施設(1,507→2,541)と不連続に増加している。2024年度以前と2025年度以降を単純比較しないこと。
日本でゴルフを教えている人の総数を示す公式統計はない。もっとも近いのは資格保有者数で、その最大のものが公益社団法人日本プロゴルフ協会(PGA)のティーチングプロ(TCP)資格である。2026年8月3日にPGA公式の会員検索を照会した時点で4,189人だった(下表)。同じ日のトーナメントプレーヤー(TP)資格は2,598人で、教える資格の保有者のほうが多い(TPの数字と出典は後述の「ツアープロとの関係」の表に置いた)。両方の資格を重ねて持つ会員がいるため、2つを足しても会員総数にはならない。
| 区分 | 発行元 | 主な受験要件 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| PGAティーチングプロ(A級・B級) | 日本プロゴルフ協会 | 申込年度中に満20歳以上。性別不問(2020年度から女性も受験可) | 国内最大。B級講習会は前期16日間120時間+後期6日間75時間 |
| JLPGAティーチングプロフェッショナル(A級) | 日本女子プロゴルフ協会 | 満18歳以上の女子(出生時)、高校卒業程度の学力 | B級講習会25日間+A級講習会16日間を経てA級を認定 |
| 民間団体の認定資格 | USGTF JAPANなど | 団体ごとに設定 | 公的な独占資格ではない |
| 資格なし | — | — | 資格がなくてもレッスン業務そのものは行える |
日本ではゴルフを教えるのに資格が要らない。 これが収入の話を分かりにくくしている最大の理由である。募集側も未経験可を掲げることが多く、ダンロップゴルフスクールは「コーチ未経験の方」に4か月間の育成プログラムを用意していると明記している。
PGAのB級ルートを、公表されている募集要項の金額だけで積み上げるとこうなる。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受験料(受験料60,000円+書類審査料6,000円) | 66,000円 |
| 前期講習会受講料(4学期・分割納付) | 460,000円 |
| 後期講習会受講料(2学期・分割納付) | 240,000円 |
| 入会金 | 500,000円 |
| 協会費(毎年) | 45,000円 |
| 初年度合計 | 1,311,000円 |
これに練習・移動・受験に伴う実費は含まれない。受講定員は100名(予定)で、2026年度は書類審査が4月下旬、最終審査が8月18日という日程が公表されている。講習内容はスイング論だけでなく医学・栄養学まで含む。
資格が必須でないにもかかわらず、100万円を超える入口が成立しているのは、資格が「教えられること」の証明ではなく、採用市場での識別子として機能しているからだと考えられる。その値付けは次節で確認する。
| 年 | 日本のティーチングプロ会員数(日本プロゴルフ協会) | 出典 |
|---|---|---|
| 2026 | 4,189 | PGA会員検索(公益社団法人日本プロゴルフ協会 公式会員データベース)— 資格区分を指定し氏名欄を空欄にした全件検索の該当件数 |
定義: 公益社団法人日本プロゴルフ協会(PGA)の会員のうち、ティーチングプロ(TCP)資格を保有する会員の数。PGA公式の会員データベース「PGA会員検索」で資格区分に「ティーチングプロ」を指定し、氏名欄を空欄にして全件検索した該当件数(照会日時点)。PGA定款第5条は正会員を「ゴルフプロフェッショナル(トーナメントプレーヤー(TP)及びティーチングプロ(TCP))」と定めるが、両資格を保有する会員がいるためTPとTCPの合計は会員総数と一致しない。年間のティーチングプロ資格認定者数(新規資格認定者数)とは別物。
注: 値は事業年度末の確定値ではなく、PGA公式会員検索を照会した日(sources[].verified_on)時点の登録件数。2026年の値は2026年8月3日照会時点。
注: トーナメントプレーヤー(TP)とティーチングプロ(TCP)は排他的な会員区分ではない。2026年8月3日時点で TP 2,598件・TCP 4,189件(単純合計6,787件)に対し、資格区分を指定しない全件検索は5,969件。差の818件は両方の資格を保有する会員とみられるため、2系列を足し上げても会員総数にはならない。
注: 会員総数の公式値は内閣府 公益法人information で公表されている PGA の「運営組織に関する重要な事項を記載した書類」(令和8年3月16日提出・2025年度分)に「社員(代議員)を選出する会員の数 5,898人」として記載がある(同書類の社員(代議員)の数は101人)。ただし資格区分別の内訳は同書類にも記載がなく、PGA会員検索の全件5,969件(2026年8月3日)とは基準日が異なる。
注: PGAが公式サイトで公開している事業報告書・事業計画書・決算(2005年度〜2025年度)および「団体情報」ページには資格区分別の会員数の記載がなく(団体情報は「5千名を超える」という概数表記のみ)、公表資料からの年次遡及はできていない。令和7年3月31日までに提出された旧制度の「運営組織等概要」は閲覧に請求者の氏名・メールアドレス登録が必要なため未取得。
注: プロテスト合格者数・ティーチングプロ資格認定者数(年間の新規資格認定者数)は会員数とは別物であり、この系列には含めていない。
注: ティーチングプロ資格制度は1985年にインストラクター資格認定制度として発足し、2002年に「PGAティーチングプロ」へ改称して階級を4段階から3段階(A・B・C級)に変更、2007年にC級とB級の資格認定講習会を統合して現在はA級・B級の2階級で講習会を実施している。受験資格も2015年度に年齢要件が緩和され、2020年度から女性も受験可能になった。会員数の数え方自体は変わらないが、母集団の性格は制度改定の影響を受ける。
「レッスンプロの年収」を1つの数字で語ることはできない。働き方によって金額の決まり方がまったく違うからである。以下に挙げるのはすべて募集時点で公開されている提示額であって、実際に支払われた金額の分布ではない。求人は「採用したい条件」であり平均値ではない、という前提で読んでほしい。なお、ツアーの賞金による収入は性質がまったく違うため、ここでは扱わない(別記事で整理している)。
| 類型 | 金額の決まり方 | 公開されている例 |
|---|---|---|
| 雇用型(正社員) | 月給+賞与 | ステップゴルフ: 月給250,000〜400,000円(固定残業37時間分54,400円〜を含む) |
| 雇用型(契約社員) | 年収レンジ | ダンロップゴルフスクール: 年収350万〜590万円(諸手当含む・経験により決定) |
| 業務委託・時給型 | 稼働日数×単価 | ダンロップゴルフスクール: 日給13,000円〜(週2日以上)/GEW掲載求人: 日給15,000〜22,000円、時給2,090〜2,500円 |
| 独立型 | 売上−経費 | 公開統計なし |
業界紙GEWの求人サイトには、この職種で77件の募集が掲載されていた(2026年8月3日閲覧)。提示額は月給20万円台から、歩合や業務委託を含むものでは月給60万〜100万円という表示まで幅がある。上端の数字は成果連動を前提としているため、固定給として読むべきではない。
ゴルフに限らない参考値として、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は「スポーツインストラクター」の全国平均年収を442万円、求人賃金を月額22.5万円としている。同職の就業者数は120,470人、就業形態は自営・フリーランスが52.9%、正規職員・従業員が33.3%。教える仕事は、そもそも雇われない働き方が半数を超える職種である。
日給13,000円のケースについて、稼働日数だけを動かして試算すると次のようになる。
| 稼働 | 月収(推定) | 年収(推定) |
|---|---|---|
| 週2日(月8日) | 104,000円 | 1,248,000円 |
| 週4日(月16日) | 208,000円 | 2,496,000円 |
| 週5日(月20日) | 260,000円 | 3,120,000円 |
計算は日給13,000円×月の稼働日数×12か月の単純積である。社会保険料・移動費・用具費・研修費は差し引いていない。業務委託ではこれらが自己負担になるため、手取りは表よりさらに下がる。単価が高くても稼働が積み上がらなければ年収は伸びない、という当たり前の構造がここにある。
ダンロップゴルフスクールは、PGA・LPGA資格の保有者に月額30,000円の資格手当を出すと明記している。年36万円である。前節で積み上げたPGAのB級ルートの初年度費用1,311,000円を資格手当だけで回収するなら、1,311,000÷360,000≒3.6年かかる計算になる。
もっとも、資格手当を用意しているのは求人の一部で、未経験・無資格から採用する事業者も多い。資格は参入の条件ではなく、採用市場での値付けの材料になっていると読むのが実態に近い。
教える側にとって、見つけてもらう経路が変わった。総務省『令和7年版 情報通信白書』によれば、YouTubeの利用率は2024年時点で50代までの各世代で8割を超え、60代でも7割以上に達している。ゴルフを始める人が最初に触れる「教わり方」が、練習場の掲示板から動画に移ったということである。
この変化は、少なくとも6年前には業界で観測されていた。月刊GEWの2020年2月号は、動画を見るだけでは物足りないゴルファーに向けてティーチングプロが個別フィードバック型のサービスを始めた例を取り上げている。記事が挙げた和田泰朗プロの「MOTION Lab Team WADA」は、月会費3,500円で月2回までスイング動画への助言を受けられる仕組みだった(同記事掲載時点の条件)。
対面レッスンの売上は、1人が1日に持てる枠数を超えられない。前節の日給ベースの試算が示すとおり、稼働日数が天井になる。動画やオンライン添削はこの制約が緩く、同じ1本を何人が見ても追加のコマは要らない。教える人にとって発信は、宣伝であると同時に、時間の切り売りから外れた売り方でもある。
ただし、これは「発信すれば稼げる」という意味ではない。
発信で伸びた人は可視化されやすいが、うまくいかなかった数は表に出ない。「レッスンプロはYouTubeで稼げる」という一般化は、生存者だけを見た結論になりやすい。 発信は集客と単価の選択肢を1つ増やすものであって、対面の収入を置き換えるものではない、と見るのが妥当だろう。
国内男子ツアーの規模は縮小した。日本ゴルフツアー機構(JGTO)公式スケジュールに基づく年間試合数は、1983年の46試合をピークに、2025年は25試合である(上図)。試合が減れば、賞金で生活できる人数の枠も減る。賞金だけで採算が合うのは何位までかという試算は別記事に譲る。
ここから「ツアーで食えなかった人が教える側に回る」という説明がよく出てくる。だが資格制度の実態を見ると、この説明は正確ではない。
PGAのティーチングプロは、トーナメントプレーヤーとは別の入口として設計された資格である。 公表されている受験要件は「申込年度中に満20歳以上」で、トーナメントプロ資格の保有は挙げられていない。B級講習会は前期16日間120時間・後期6日間75時間の座学と実技で構成され、2020年度からは女性も受験できるようになった。最初から指導者として入ってくるルートが用意されている、ということである。
会員数の構成もそれを裏づける。2026年8月3日時点で、ティーチングプロ資格の会員(4,189人)はトーナメントプレーヤー資格の会員(下表・2,598人)を上回る。教えることは、競技から降りた人の受け皿ではなく、独立した職業として成立していると見るべきだろう。
会員数は「資格を持っている人の数」であって「その仕事で生計を立てている人の数」ではない。PGAが公式サイトで公開している事業報告書・団体情報には資格区分別の就業実態の統計がなく、ティーチングプロ4,189人のうち何人がレッスンを主収入にしているかは分からない。ここで言えるのは供給側の資格保有者の構成までで、就業者数として読み替えることはできない。
| 年 | 日本のトーナメントプロ会員数(日本プロゴルフ協会) | 出典 |
|---|---|---|
| 2026 | 2,598 | PGA会員検索(公益社団法人日本プロゴルフ協会 公式会員データベース)— 資格区分を指定し氏名欄を空欄にした全件検索の該当件数 |
定義: 公益社団法人日本プロゴルフ協会(PGA)の会員のうち、トーナメントプレーヤー(TP)資格を保有する会員の数。PGA公式の会員データベース「PGA会員検索」で資格区分に「トーナメントプレイヤー」を指定し、氏名欄を空欄にして全件検索した該当件数(照会日時点)。PGA定款第5条は正会員を「ゴルフプロフェッショナル(トーナメントプレーヤー(TP)及びティーチングプロ(TCP))」と定めるが、両資格を保有する会員がいるためTPとTCPの合計は会員総数と一致しない。年間のプロテスト合格者数(新規資格認定者数)とは別物。
注: 値は事業年度末の確定値ではなく、PGA公式会員検索を照会した日(sources[].verified_on)時点の登録件数。2026年の値は2026年8月3日照会時点。
注: トーナメントプレーヤー(TP)とティーチングプロ(TCP)は排他的な会員区分ではない。2026年8月3日時点で TP 2,598件・TCP 4,189件(単純合計6,787件)に対し、資格区分を指定しない全件検索は5,969件。差の818件は両方の資格を保有する会員とみられるため、2系列を足し上げても会員総数にはならない。
注: 会員総数の公式値は内閣府 公益法人information で公表されている PGA の「運営組織に関する重要な事項を記載した書類」(令和8年3月16日提出・2025年度分)に「社員(代議員)を選出する会員の数 5,898人」として記載がある(同書類の社員(代議員)の数は101人)。ただし資格区分別の内訳は同書類にも記載がなく、PGA会員検索の全件5,969件(2026年8月3日)とは基準日が異なる。
注: PGAが公式サイトで公開している事業報告書・事業計画書・決算(2005年度〜2025年度)および「団体情報」ページには資格区分別の会員数の記載がなく(団体情報は「5千名を超える」という概数表記のみ)、公表資料からの年次遡及はできていない。令和7年3月31日までに提出された旧制度の「運営組織等概要」は閲覧に請求者の氏名・メールアドレス登録が必要なため未取得。
注: プロテスト合格者数・ティーチングプロ資格認定者数(年間の新規資格認定者数)は会員数とは別物であり、この系列には含めていない。
ここまでの材料を、立場ごとに分けて整理する。
これから雇われて始める人へ。 公開求人の中心は月給20万円台後半から30万円台、契約社員では年収350万〜590万円というレンジだった。未経験可の募集が多く、参入の壁は資格よりも採用枠にある。収入は安定するが、上限は勤務先の給与テーブルで決まる。
業務委託・時給で働く人へ。 日給13,000〜22,000円、時給2,090〜2,500円という単価は、時間あたりで見れば雇用型より高い。ただし年収は稼働日数で決まり、社会保険料・移動費・用具費は自己負担になる。単価の高さと年収の高さは別の話である。
独立を考える人へ。 ここだけは公開統計がなく、収入レンジを示せない。示せないことを正直に書いておく。手がかりになるのは、厚生労働省がスポーツインストラクター全体で自営・フリーランスを52.9%としていること、そしてインドア施設の増加が「教える場所」の選択肢自体を増やしていることくらいである。
矢野経済研究所の調査では、国内のゴルフ用品市場は2024年に前年比95.0%の2,933億3,000万円まで下がり、コロナ禍のピークを越えて減少に転じた(2025年は3,093億5,000万円と、再び3,000億円台に戻る見込み)。その裏で、インドア施設は増え続けている。お金の向き先は「モノを買う」から「通う場所と教わる時間」へ寄っている。
ただしこれは施設側の話である。施設が増えたことと、教える個人の取り分が増えたことは同じではない。コーチ1人あたりの収入が上がったことを示すデータは、現時点で公開されていない。市場の拡大をそのまま個人の収入の増加として読み替えないこと。それがこの分野の数字を扱ううえで一番大事な線引きだと考える。
必須ではありません。日本ではレッスン業務そのものに資格要件がなく、募集要項でも未経験可・無資格可を掲げる事業者が少なくありません。ただし採用時の評価や資格手当という形で値段はついており、ダンロップゴルフスクールはPGA・LPGA資格の保有者に月額30,000円の資格手当を明記しています。
公表されている募集要項の金額だけを積み上げると、初年度で1,311,000円になります。内訳は受験料66,000円(受験料60,000円+書類審査料6,000円)、前期講習会受講料460,000円、後期講習会受講料240,000円、入会金500,000円、協会費45,000円です。練習・移動・受験に伴う実費は含みません。
働き方で決まり方が違うため、1つの数字では表せません。公開求人では雇用型(正社員)が月給250,000〜400,000円、契約社員が年収350万〜590万円、業務委託・時給型が日給13,000〜22,000円・時給2,090〜2,500円という提示が確認できます。いずれも募集時点の提示額であって、実際の支給額の分布ではありません。ゴルフ限定ではない参考値として、厚生労働省のjob tagは「スポーツインストラクター」の平均年収を442万円としています。
時間あたりの単価は業務委託型のほうが高い傾向にありますが、年収は稼働日数で決まります。日給13,000円の場合、週2日(月8日)なら年約125万円、週5日(月20日)なら年約312万円という単純計算になります。加えて社会保険料・移動費・用具費が自己負担になるため、額面の単価だけで比較することはできません。
どちらもPGAの会員資格ですが、別の資格です。2026年8月3日時点でティーチングプロ資格の会員は4,189人、トーナメントプレーヤー資格の会員は2,598人で、教える側の資格のほうが多くなっています。両方を保有する会員がいるため、2つを足しても会員総数とは一致しません。
ルートは2つあります。PGAのティーチングプロは2020年度から女性も受験できるようになり、申込年度中に満20歳以上であれば性別を問いません。JLPGAティーチングプロフェッショナルは満18歳以上の女子(出生時)が対象で、B級講習会25日間とA級講習会16日間を経てA級が認定されます。
『レジャー白書2025』(対象年2024年)のゴルフ(練習場)参加率は4.6%で、参加人数が急増している状況ではありません。増えているのは1人あたりの支払い方のほうです。同白書の練習場の年間平均費用は36.3千円ですが、定額制スクールの表示価格は月額4,980円から(年59,760円)で、単純比較すると約1.6倍にあたります。最安プランどうしの比較ではない点に注意が必要ですが、客単価を上げる業態が施設数の増加を支えている構図が読み取れます。
最終更新: 2026-08-03