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全英オープン 完全ガイド

全英オープン (The Open Championship) は1860年に始まった世界最古のメジャー大会です。主催は「ゴルフの総本山」R&A (The Royal and Ancient Golf Club of St Andrews)。男子4大メジャーで唯一、英国・北アイルランドのリンクスコースだけで毎年7月に開催されます。海風と砂丘、浅いポットバンカーが牙をむく「風雨との戦い」が魅力で、優勝者には銀のクラレットジャグと「Champion Golfer of the Year (今年のチャンピオンゴルファー)」の称号が贈られます。

セントアンドルーズ・オールドコース18番(全英オープン)
全英オープンの聖地セントアンドルーズ・オールドコース18番。街並みを背にした名物フィニッシュ Scott Cormie / Wikimedia Commons (CC BY-SA 2.0)

全英オープン (The Open Championship) とは

全英オープンは、男子ゴルフの4大メジャー(マスターズ/全米プロ/全米オープン/全英オープン)のひとつで、世界最古のメジャー大会です。日本では「全英オープン」と呼ばれますが、正式名称は "The Open Championship"(ザ・オープン・チャンピオンシップ)。世界では大会名を冠詞付きの「The Open」と書くだけで通じるほど特別な地位を持ちます。米国では "British Open(ブリティッシュ・オープン)" とも呼ばれますが、これは「全米オープン(U.S. Open)」と区別するための通称で、大会の正式名ではありません。

主催は R&A (The Royal and Ancient Golf Club of St Andrews)。スコットランドのセントアンドリュースを本拠とする、ゴルフのルールを統括してきた歴史的団体です。全米オープンを主催するUSGA(全米ゴルフ協会)とは別の組織で、両大会は運営も会場もまったく異なります。

項目 内容
正式名称 The Open Championship
日本での通称 全英オープン/ブリティッシュ・オープン
主催 R&A
創設 1860年(4メジャーで最古)
開催時期 毎年7月
会場 英国・北アイルランドのリンクスコース(ローテーション制)
優勝トロフィー クラレットジャグ (Claret Jug)

第154回 (2026年) の結果

2026年7月16〜19日、イングランドのRoyal Birkdaleで第154回大会が開催され、ニュージーランドのライアン・フォックス (Ryan Fox) が通算10アンダー270で優勝しました。メジャー初制覇であり、メジャーでトップ10に入ったのもこの大会が初めてです。ニュージーランド出身選手の全英オープン制覇は、1963年のボブ・チャールズ以来2人目となりました。

フォックスのスコアは72-68-62-68。3日目の62は、メジャー大会の1ラウンド最少ストローク記録に並ぶスコアでした。この週は2日目にサム・バーンズとルーカス・ハーバートも62をマークしており、1大会で3度の62が記録されています。最終日は18番でバーディを奪い、キャメロン・ヤングに1打差をつけて72ホールで決着しました (プレーオフなし)。

順位 選手 英語表記 国・地域 トータル
1 ライアン・フォックス Ryan Fox ニュージーランド -10 (270)
2 キャメロン・ヤング Cameron Young 米国 -9 (271)
3 サム・バーンズ Sam Burns 米国 -8 (272)
T4 スコッティ・シェフラー Scottie Scheffler 米国 -7 (273)
T4 トミー・フリートウッド Tommy Fleetwood イングランド -7 (273)
T6 ケーシー・ジャービス Casey Jarvis 南アフリカ -6 (274)
T6 ルーカス・ハーバート Lucas Herbert 豪州 -6 (274)
T6 キム・シウー Si Woo Kim 韓国 -6 (274)
T9 アダム・スコット Adam Scott 豪州 -5 (275)
T9 ラッセル・ヘンリー Russell Henley 米国 -5 (275)
T9 ラスムス・ニアゴーピーターセン Rasmus Neergaard-Petersen デンマーク -5 (275)
T9 ルドビグ・オーベリ Ludvig Aberg スウェーデン -5 (275)
T9 ライアン・ジェラード Ryan Gerard 米国 -5 (275)

日本勢では松山英樹が通算4アンダーでT14に入り、日本人選手の最上位となりました (72-67-67-70)。久常涼がT53 (+1)、片岡尚之がT59 (+2)、比嘉一貴がT74 (+7) で4日間を終えています。中島啓太・永野竜太郎・金子駆大・米澤蓮は予選落ちで、カットラインは+1 (141) でした。中島と永野は143で2打届きませんでした。

出場した10名のアマチュアは全員が予選を通過できず、シルバーメダルの該当者は出ませんでした。R&Aの発表によれば、期間中の入場者数は306,000人で大会新記録となっています。コース最難関は18番 (週間通算+161) でした。

歴史

Harry Vardon, six-time Open champion
全英オープン史上最多6勝を誇る名手ハリー・バードン Bain News Service / Wikimedia Commons (Public Domain)

全英オープンの第1回は 1860年、スコットランドのPrestwick(プレストウィック) で開催されました。出場わずか8名のプロによる小さな大会でしたが、これが世界のメジャーゴルフの原点になります。1873年にはセントアンドリュースのオールドコースで初開催され、以降は複数のコースを持ち回る現在のローテーション制へと発展しました。

初期にはハリー・バードン(Harry Vardon)が史上最多の6勝を記録。20世紀以降も時代を代表する名手が優勝を重ね、ジャック・ニクラスが3勝、タイガー・ウッズも3勝を挙げています。20世紀後半からは世界中のトッププロが集う真のワールドチャンピオンシップとなりました。

第二次世界大戦中などの中断を経て、近年では新型コロナウイルスの影響で2020年大会が中止になりました(中止は戦後初)。直近の優勝者は時代を象徴する顔ぶれが並びます。

主な記録 選手 内容
最多優勝 ハリー・バードン 6勝
近代の名手 ジャック・ニクラス 3勝
近代の名手 タイガー・ウッズ 3勝
第1回優勝 ウィリー・パーク・シニア 1860年・Prestwick

リンクスコースとローテーション

全英オープンの最大の特徴は、すべてリンクスコース(links course)で開催されることです。リンクスとは、海と内陸のあいだの砂地(砂丘地帯)に自然の地形を生かして造られたゴルフコースのこと。木がほとんどなく、海からの強風、深く険しいポットバンカー、固く速いフェアウェイ、季節外れの雨が選手を苦しめます。ボールを高く上げる米国型のゴルフではなく、風の下を転がして攻める「ランニングアプローチ」や、風を読む技術が問われるのがリンクスゴルフの醍醐味です。

会場は固定ではなく、「Open Rota(オープン・ローテーション)」と呼ばれる現行10会場を持ち回ります。下表が現行ローテーションの会場です。

コース 所在
St Andrews(オールドコース) スコットランド(ゴルフの聖地・節目の年に開催)
Royal Troon スコットランド
Carnoustie スコットランド(屈指の難コース)
Muirfield スコットランド
Turnberry(アイルサ) スコットランド
Royal Liverpool(ホイレーク) イングランド
Royal Birkdale イングランド
Royal Lytham & St Annes イングランド
Royal St George's イングランド(イングランド南東部唯一の開催地)
Royal Portrush 北アイルランド

なかでも St Andrewsのオールドコースは「ゴルフの故郷(Home of Golf)」と呼ばれ、節目の年に開催される特別な会場です。Royal Portrush は北アイルランド唯一の開催地で、2019年・2025年と近年復活を果たしています。

開催時期・フォーマット

全英オープンは毎年7月、おおむね第3週前後に開催されます。木曜から日曜までの4日間・72ホールのストロークプレーで行われ、2日目(金曜)終了時点で上位+同スコアの選手によるカットがあります。

英国の夏は天候が変わりやすく、強風・横殴りの雨・低い気温が珍しくありません。荒天時には開始時刻の繰り下げやプレー中断もあり、天候そのものが「もう一人の出場者」と言われるほどです。

72ホール終了時に同スコアで首位が並んだ場合は、3ホールの合計打数で決めるプレーオフ(3-hole aggregate playoff)を行います。1ホールごとに決着するサドンデス方式ではなく、3ホールを戦ってその合計で勝者を決めるのが全英オープンのルールです。R&Aは2019年に、1989年から続いた4ホール制をこの3ホール制へ変更しました。3ホールを終えてなお並んだ場合は、18番ホールを使ったサドンデスで決着します(2026年のロイヤル・バークデールでは14番・15番・18番の3ホールが指定されていました)。

出場資格・予選システム

全英オープンの出場ルートは大きく「自動出場(exemption)」「Open Qualifying Series」「Final Qualifying」の3つに分かれます(2026年・Royal Birkdale大会の制度をベースに記載)。

1. 自動出場(exemption categories) 各種の資格カテゴリーに該当する選手は予選免除で出場できます。代表例は次の通りです。

カテゴリーは年により見直され、近年は LIV Golf選手向けのカテゴリーも設けられています(R&A/The Open公式)。

2. Open Qualifying Series(OQS) DP World Tour・PGA TOUR・ジャパンゴルフツアー(JGTO)・アジアンツアー・コーンフェリーツアーなど、世界各地の指定大会の上位選手(未出場権者)に出場枠が与えられる仕組みです。日本のツアー大会も対象に含まれており、日本人選手にとって重要なルートになっています。

3. Final Qualifying(最終予選) 英国内の複数会場で6月に行われる36ホールの最終予選です。ここを勝ち抜けば誰でも本大会に出場できる「狭き門」で、全英オープンの「The Open(開かれた大会)」という名にふさわしい仕組みです。2026年大会では、本大会週に行われるLast-Chance Qualifier(最終チャンス予選)も新設されました。

賞金とクラレットジャグ

2026年大会(第154回・Royal Birkdale)の賞金総額は1,775万ドル(過去最高)で、優勝したライアン・フォックスの優勝賞金は320万ドルでした。前年(2025年・第153回)の1,700万ドルから75万ドル増額され、R&Aが発表した過去最高額です(R&A/The Open公式)。賞金総額・配分は年ごとにR&Aが発表します。

優勝者に贈られるのが、銀製のトロフィー クラレットジャグ(Claret Jug)です。正式名称は "The Golf Champion Trophy" で、優勝者は同時に 「Champion Golfer of the Year(今年のチャンピオンゴルファー)」の称号を得ます。これは全英オープンにしかない特別な呼称です。

また、予選を通過したアマチュアのうち最少スコアの選手にはシルバーメダル(Silver Medal)が贈られます。プロ・アマ問わず門戸が開かれている点も、この大会の伝統です。

注目選手・歴代優勝者

Xander Schauffele swinging at a tournament
2024年の全英オープンを制したザンダー・シャウフェレ Ryan Casey Aguinaldo / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

近年は世界ランキング上位の選手が優勝を重ねてきましたが、2026年はメジャー初優勝のライアン・フォックスが制しました。優勝者は下表の通りです(2020年はコロナ禍で中止)。

優勝者 会場
2026 ライアン・フォックス ニュージーランド Royal Birkdale
2025 スコッティ・シェフラー 米国 Royal Portrush
2024 ザンダー・シャウフェレ 米国 Royal Troon
2023 ブライアン・ハーマン 米国 Royal Liverpool
2022 キャメロン・スミス 豪州 St Andrews
2021 コリン・モリカワ 米国 Royal St George's
2020 (中止)
2019 シェーン・ローリー アイルランド Royal Portrush
2018 フランチェスコ・モリナリ イタリア Carnoustie
2017 ジョーダン・スピース 米国 Royal Birkdale
2016 ヘンリク・ステンソン スウェーデン Royal Troon
2015 ザック・ジョンソン 米国 St Andrews

日本人選手の最高成績は、1982年に倉本昌弘がRoyal Troonで記録した4位です(GDO/みんなのゴルフダイジェスト 等)。これは現在も破られていない日本勢の最高位です。古くは青木功や中嶋常幸が上位に食い込み、近年はマスターズ覇者の松山英樹が常連として出場しています。

日本での視聴方法

日本国内では、全英オープンは長年 NHK BSWOWOW が中継してきました。放送・配信の権利は年によって変わるため、視聴の際はその年の最新の放送予定を必ず確認してください。

また、大会主催のR&Aは公式アプリ "The Open" アプリ公式サイトでリーダーボードやハイライト、一部ライブ配信を提供しています。リアルタイムでスコアを追いたい場合は公式アプリが便利です。

(※具体的な放送局・配信サービスは年ごとに変動します。本記事では確定情報のみを記載し、最新の契約状況は各局の発表をご確認ください。)

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料金・配信内容は変更されることがあります。最新の条件は各公式サイトでご確認ください。

関連ツアー・大会

全英オープンを主催するR&Aは、ほかにも複数の主要大会を運営しています。シニア(50歳以上)の Senior Open Championship(全英シニアオープン)、女子の AIG Women's Open(全英女子オープン)などがその代表で、いずれも「The Open」と同じくリンクスを舞台にした伝統大会です。

また全英オープンは DP World Tour(欧州ツアー)の公式戦としても扱われ、欧州ツアーのレース・トゥ・ドバイのポイント対象になります。男子4大メジャーの他大会(マスターズ・全米オープン・全米プロ)と並ぶ、シーズンの最重要大会のひとつです。

よくある質問

2026年の全英オープンは誰が優勝した?

2026年の第154回大会 (Royal Birkdale) は、ニュージーランドのライアン・フォックスが通算10アンダー270で優勝しました。フォックスにとってメジャー初優勝で、ニュージーランド出身選手の全英オープン制覇は1963年のボブ・チャールズ以来2人目です。日本勢の最上位は通算4アンダーでT14の松山英樹でした。

全英オープンと全米オープンは違う?

まったく別の大会です。全英オープン (The Open Championship) はR&Aが主催し、英国のリンクスコースで7月に開催されます。全米オープン (U.S. Open) はUSGAが主催する米国の大会で、運営団体も会場も時期も異なります。

なぜ「The Open」だけで通じる?

1860年創設の世界最古のメジャーであり、ゴルフの「オープン選手権」の原点だからです。大会名を冠詞付きの「The Open」と書くだけで、世界ではこの大会を指す固有名詞のような地位を確立しています。

リンクスコースって何?

海沿いの砂丘地帯に自然地形を生かして造られたコースのことです。木がほとんどなく、強風・深いポットバンカー・固く速いフェアウェイが特徴。ボールを転がして攻める技術と、風を読む力が問われます。

出場するにはどうすればいい?

大きく3ルートあります。世界ランキング上位や過去優勝者などの『自動出場』、世界各地の指定大会の上位に枠が出る『Open Qualifying Series』、英国内で行われる36ホールの『Final Qualifying(最終予選)』です。

賞金はいくら?

2026年大会(第154回・Royal Birkdale)の賞金総額は1,775万ドル(過去最高)で、優勝したライアン・フォックスの優勝賞金は320万ドルでした。前年から75万ドル増額されています。総額・配分は年ごとにR&Aが発表します。

クラレットジャグは持ち帰れる?

優勝者はクラレットジャグを約1年間(次回大会まで)持ち帰ることができます。その後はR&Aが保管し、優勝者には複製(レプリカ)が贈られます。

日本人の最高成績は?

1982年に倉本昌弘がRoyal Troonで記録した4位が、現在も日本勢の最高位です。青木功や中嶋常幸も上位に食い込んだ実績があります。

次回(直近)の開催地は?

2026年 (第154回) はRoyal Birkdaleで7月16〜19日に開催され、ライアン・フォックスが優勝しました。次回2027年 (第155回) は、St Andrewsのオールドコースでの開催がR&Aから発表されています。

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出典・公式リンク

最終更新: 2026-07-21