マスターズ・トーナメントは、全米オープン・全英オープン・全米プロと並ぶ男子ゴルフ4大メジャーの一つです。4大会のなかで唯一、毎年同じコース(米ジョージア州のオーガスタナショナル・ゴルフクラブ)で開催されるのが最大の特徴。優勝者には緑のジャケット「グリーンジャケット」が贈られ、出場は招待制という独特の格式を誇ります。2021年には松山英樹がアジア人として史上初めて優勝し、日本でも一気に注目度が高まりました。この記事では、マスターズの成り立ちから出場資格、賞金、歴代優勝者、日本での視聴方法までをまとめて解説します。
マスターズ・トーナメントは、米ジョージア州オーガスタにあるオーガスタナショナル・ゴルフクラブが主催・運営する招待制のゴルフ大会です。毎年4月に開催され、全米オープン・全英オープン(ジ・オープン)・全米プロゴルフ選手権とともに男子ゴルフの「4大メジャー」に数えられます。
大会の創設は1934年。世界的名手として知られたアマチュアのボビー・ジョーンズと、投資家のクリフォード・ロバーツが中心となってオーガスタナショナルを設計・開場し、その記念競技として始めたのがマスターズの原型です(マスターズ公式)。
4大メジャーのなかでは最も歴史が新しい大会ですが、毎年同じ名コースで世界トップ選手だけが集う「招待制」という性格から、格式の高さで最高峰に位置づけられています。運営はPGA TOUR・USGA・R&A・PGA of Americaのいずれにも属さず、オーガスタナショナル・ゴルフクラブとマスターズ・トーナメント・ファウンデーションによる完全独立の体制で行われているのも大きな特徴です。
第1回大会は1934年に開催され、初代王者はホートン・スミスでした(当初の名称は「オーガスタナショナル招待トーナメント」で、現在の「マスターズ」名は1939年から定着)。第二次世界大戦中の1943〜1945年は中止となり、2026年大会で第90回を迎えました。
歴代最多優勝はジャック・ニクラスの6勝。次いでタイガー・ウッズが5勝、アーノルド・パーマーが4勝と続きます。近年はスコッティ・シェフラー(2022・2024)やジョン・ラーム(2023)らが優勝。2025年にはローリー・マキロイがプレーオフを制して初優勝し、4大メジャーすべてを制覇するキャリア・グランドスラムを達成しました。さらに2026年、マキロイは大会連覇を達成し、ニクラス、ニック・ファルド、タイガー・ウッズに続く史上4人目の連覇者となりました(PGA TOUR)。
日本にとって最大の歴史的瞬間は、2021年の松山英樹の優勝です。日本人として、またアジア人として史上初のマスターズ制覇という快挙で、日本のゴルフ史に残る出来事となりました。
舞台となるオーガスタナショナル・ゴルフクラブは、米ジョージア州オーガスタにあるパー72のコースです。元々は果樹園だった土地に造られており、18ホールそれぞれに花や樹木の名前が付けられているのが特徴です(例:10番「カメリア(椿)」、13番「アザレア(つつじ)」)。
コース中盤の11番・12番・13番は「アーメンコーナー」と呼ばれる名物区間で、勝負の行方を大きく左右する難所として知られています(この呼称は1958年にスポーツライターのハーバート・ウォーレン・ウィンドが名付けたとされます)。
大会が開かれる4月のオーガスタは、コースを彩るアザレアやハナミズキ(ドッグウッド)が満開を迎える季節。手入れの行き届いた美しい景観も、マスターズが世界中のファンを惹きつける理由の一つです。本戦前には練習ラウンドやパー3コンテストが行われ、選手とファンが交流する独特の雰囲気も大会の魅力になっています。
マスターズは例年4月の上旬〜中旬に開催されます。木曜から日曜までの4日間で72ホール(各日18ホール)のストロークプレーを行い、2日目(金曜)終了時点で予選カット(上位50位タイまでが進出)が実施されます。
本戦に先立ち、火曜・水曜は練習ラウンド、水曜午後にはパー3コンテストが行われるのが恒例です(後述)。
72ホールを終えて首位が並んだ場合は、サドンデス方式のプレーオフで決着します。18番ホールから始め、決着がつかなければ10番ホールに移り、以降は18番・10番を繰り返す形式です。
| 曜日 | 主な内容 |
|---|---|
| 月〜水 | 練習ラウンド |
| 水(午後) | パー3コンテスト |
| 木 | 第1ラウンド |
| 金 | 第2ラウンド(終了後に予選カット) |
| 土 | 第3ラウンド(ムービングデー) |
| 日 | 最終ラウンド |
マスターズは招待制で、出場できるのは大会が定める資格カテゴリのいずれかに該当した選手のみです。シード権で広く門戸を開く他ツアーとは異なり、メジャー優勝者・主要大会の上位者・世界ランキング上位者・主要アマチュアタイトル保持者などに絞られています。
以下は主な資格カテゴリです(最新の正式な条件は出場資格 公式ページを参照)。
| 区分 | 資格カテゴリ | 期間 |
|---|---|---|
| ① | マスターズ歴代優勝者 | 生涯 |
| ② | 全米オープン歴代優勝者 | 5年 |
| ③ | 全英オープン(ジ・オープン)歴代優勝者 | 5年 |
| ④ | 全米プロ歴代優勝者 | 5年 |
| ⑤ | THE PLAYERS Championship 優勝者 | 3年 |
| ⑥ | 直近のオリンピック金メダリスト | 1年 |
| ⑦ | 全米アマチュア優勝者・準優勝者 | 1年 |
| ⑧ | 全英アマチュア優勝者 | 1年 |
| ⑨ | アジアパシフィックアマチュア選手権 優勝者 | 1年 |
| ⑩ | ラテンアメリカアマチュア選手権 優勝者 | 1年 |
| ⑪ | 全米ミッドアマチュア優勝者 | 1年 |
| ⑫ | 前年マスターズ 上位12位タイまで | — |
| ⑬ | 前年全米オープン 上位4位タイまで | — |
| ⑭ | 前年全英オープン 上位4位タイまで | — |
| ⑮ | 前年全米プロ 上位4位タイまで | — |
| ⑯ | PGAツアー優勝者(フルポイント対象大会) | — |
| ⑰ | 前年ツアー選手権の出場資格者 | — |
| ⑱ | 各国オープン優勝者(スコットランド・スペイン・日本・香港・豪州・南アフリカ) | 1年 |
| ⑲ | 世界ランキング上位50位(前年末/開幕前週時点) | — |
2026年からは日本オープンを含む6つのナショナルオープン優勝者が新たに招待対象に加わりました(DP World Tour)。これに加え、マスターズ委員会の裁量で、上記に該当しない国際的な有力選手が特別招待されることもあります。
2026年大会の総賞金は2,250万ドルで、メジャー史上最高額を記録しました。優勝者ローリー・マキロイの賞金は450万ドル、2位スコッティ・シェフラーは243万ドルでした(PGA TOUR)。賞金総額・配分は毎年見直されるため、最新の金額は公式発表で確認するのが確実です。
そして賞金以上にマスターズを象徴するのが、優勝者に贈られるグリーンジャケットです。これはオーガスタナショナルの会員が着用するものと同じデザインで、王者は名誉の証として袖を通します。前年の優勝者が新王者にジャケットを着せるセレモニーも大会の名物です。
グリーンジャケットは優勝後の1年間だけ自宅へ持ち帰ることが許され、その後はクラブハウスのチャンピオンズ・ロッカールームに保管され、来場時に着用する決まりです。優勝者だけが入れる専用ロッカールームや、前年王者が主催するチャンピオンズ・ディナー(1952年にベン・ホーガンが始めた伝統)など、歴代王者が特別に遇される文化もマスターズならではです。
近年の優勝者は以下の通りです。日本人最高成績は2021年の松山英樹の優勝で、これがマスターズにおける日本人の最高記録です。
| 年 | 優勝者 | 国 |
|---|---|---|
| 2026 | ローリー・マキロイ | 北アイルランド |
| 2025 | ローリー・マキロイ | 北アイルランド |
| 2024 | スコッティ・シェフラー | 米国 |
| 2023 | ジョン・ラーム | スペイン |
| 2022 | スコッティ・シェフラー | 米国 |
| 2021 | 松山英樹 | 日本 |
| 2020 | ダスティン・ジョンソン | 米国 |
| 2019 | タイガー・ウッズ | 米国 |
| 2018 | パトリック・リード | 米国 |
| 2017 | セルヒオ・ガルシア | スペイン |
| 2016 | ダニー・ウィレット | イングランド |
| 2015 | ジョーダン・スピース | 米国 |
歴代ではジャック・ニクラスの6勝が最多、タイガー・ウッズが5勝で続きます。現役では2025・2026年と連覇したローリー・マキロイ、世界ランキング上位を走るスコッティ・シェフラーが優勝候補の筆頭です。日本勢では松山英樹が引き続き優勝経験者として出場権を持ち、毎年注目を集めています。
日本では、例年TBS系列(地上波・BS-TBS)でマスターズの中継が放送されています。第1ラウンドから最終ラウンドまでの模様が無料で楽しめるのが魅力です。
ネット配信ではU-NEXTがライブ配信を行い、テレビよりも長時間・多チャンネルの中継を提供しています。日本語実況のメイン中継に加え、ドライビングレンジ、注目組(フィーチャードグループ)、アーメンコーナー(11〜13番)、15・16番ホールといった複数チャンネルでの配信が用意され、水曜のパー3コンテストもライブ配信されます(マスターズ2026 放送一覧)。
また、マスターズ公式サイト(Masters.com)や公式アプリでも、Featured Groups(注目組)、Amen Corner(アーメンコーナー)、Holes 15 & 16 など、ホールやグループごとの専用ライブ配信が提供されます。放送・配信内容は年によって変わるため、視聴前に各社の最新の編成を確認するのがおすすめです。
マスターズはPGA TOURの年間スケジュールにおいて、シーズン前半(4月)に行われる年内最初のメジャーという位置づけです。続いて5月に全米プロ、6月に全米オープン、7月に全英オープンが開催され、この4大会がメジャーシーズンを構成します。
他の3メジャーが開催コースを毎年変えるのに対し、マスターズは唯一オーガスタナショナルに固定されている点が最大の違いです。また、招待制という出場形態も他メジャーとは異なります。
マスターズ週の直前(前週日曜)には、ジュニア育成イベント「ドライブ・チップ&パット(Drive, Chip & Putt)」の全米決勝がオーガスタナショナルで開催され、次世代のスター候補があの舞台に立つ機会として親しまれています。
マスターズは、コースを所有・運営するオーガスタナショナル・ゴルフクラブ自身が主催する大会だからです。開催コースを持ち回りで変える他の3メジャーと異なり、マスターズは創設以来一貫してオーガスタナショナルで行われています。これが4大メジャー唯一の「固定会場」という特徴になっています。
マスターズは招待制で、大会が定める資格カテゴリ(メジャー優勝者、主要大会の上位者、世界ランキング上位50位、主要アマチュアタイトル保持者など、約19の区分)のいずれかに該当する必要があります。一般のシード権だけで出られる他ツアーとは仕組みが異なります。
できます。全米アマチュアや全英アマチュアの優勝者、アジアパシフィックアマチュア選手権の優勝者など、主要なアマチュアタイトルを獲得した選手には出場資格が与えられます。アマチュアながらオーガスタの舞台に立てるのもマスターズの伝統の一つです。
優勝した年から1年間だけ自宅へ持ち帰ることが許されます。その後はオーガスタナショナルのクラブハウス内に保管され、来場時に着用する決まりになっています。
2021年に1勝しています。日本人として、またアジア人として史上初のマスターズ優勝という快挙で、これが日本人のマスターズ最高記録です。
2026年大会の総賞金は2,250万ドルで、メジャー史上最高額でした。優勝者の賞金は450万ドルです。賞金額は毎年見直されるため、最新の数値はマスターズ公式やPGA TOURの発表で確認するのが確実です。
本戦前の水曜午後に、敷地内のパー3コースで行われる親善イベントです。選手が家族やキャディと和やかにプレーする恒例行事で、マスターズの開幕を告げる風物詩になっています。
サドンデス方式で、決着がつくまで繰り返します。18番ホールから始め、決まらなければ10番ホールへ移り、以降は18番・10番を繰り返す形式です。
最終更新: 2026-06-01