オリンピックのゴルフは、男女それぞれが個人で72ホール(4日間)のストロークプレーを戦い、金・銀・銅のメダルを争う競技です。1900年・1904年に開催されたのち112年もの長い中断をはさみ、2016年のリオデジャネイロ大会で正式種目として復活しました。日本にとっては、2020年東京大会で稲見萌寧が女子で銀メダル、2024年パリ大会で松山英樹が男子で銅メダルを獲得し、一気に注目度が高まった舞台でもあります。この記事では、五輪ゴルフの仕組みから歴史、出場資格、日本勢の成績、歴代メダリスト、日本での視聴方法までをまとめて解説します。
オリンピックのゴルフは、夏季オリンピックで実施される競技の一つです。大会全体を統括するのはIOC(国際オリンピック委員会)で、ゴルフ競技そのものの運営はIGF(International Golf Federation/国際ゴルフ連盟)が担当しています(IGF オリンピック)。
競技形式はシンプルで、男子・女子それぞれの個人戦として行われます。4日間で72ホール(各日18ホール)のストロークプレー(合計打数の少なさを競う方式)で順位を決め、上位3名に金・銀・銅メダルが贈られます。団体戦(チーム戦)は実施されず、あくまで個人成績だけで争われるのが特徴です。
ゴルフは1900年(パリ)と1904年(セントルイス)の初期オリンピックで実施された歴史を持ちますが、その後112年間にわたって中断し、2016年のリオデジャネイロ大会でようやく正式種目に復帰しました。長いブランクを経ての「復活競技」という点が、五輪ゴルフを語るうえで欠かせない背景になっています。
オリンピックでゴルフが初めて行われたのは1900年のパリ大会です。このとき女子競技も実施され、ゴルフは女性がオリンピックで競った最初期の競技の一つになりました。続く1904年のセントルイス大会では男子の団体戦などが行われましたが、以降ゴルフはオリンピックのプログラムから外れ、長い中断期間に入ります。
転機となったのは2009年のIOC総会で、ここでゴルフの正式種目復帰が決定し、2016年リオ大会での実施が正式に決まりました。1904年から数えて112年ぶりの復活です。
復活後の各大会の金メダリストは次の通りです。
| 大会 | 男子 金 | 女子 金 |
|---|---|---|
| 2016 リオ | ジャスティン・ローズ(英国) | パク・インビ(韓国) |
| 2020 東京 | ザンダー・シャウフェレ(米国) | ネリー・コルダ(米国) |
| 2024 パリ | スコッティ・シェフラー(米国) | リディア・コ(ニュージーランド) |
※2020東京大会は新型コロナウイルスの影響で1年延期され、実際の開催は2021年でした(IGF Tokyo 2020)。
オリンピックのゴルフは大会ごとに開催コースが変わります。復活後の各大会で使われたコースは以下の通りです。
| 大会 | コース | 所在地 |
|---|---|---|
| 2016 リオ | オリンピック・ゴルフコース(ギル・ハンス設計) | ブラジル・リオデジャネイロ |
| 2020 東京 | 霞ヶ関カンツリー倶楽部 | 埼玉県川越市 |
| 2024 パリ | ル・ゴルフ・ナショナル(アルバトロスコース) | フランス・パリ近郊 |
| 2028 ロサンゼルス | リビエラ・カントリークラブ(予定) | 米国・カリフォルニア州 |
2016年リオのコースは、大会のために新設されたパブリックコースで、人気設計家ギル・ハンスが手がけました。2020年東京大会の舞台となった霞ヶ関カンツリー倶楽部は、1929年開場の日本を代表する名門コースです。2024年パリ大会のル・ゴルフ・ナショナルは、2018年のライダーカップ(米欧対抗戦)も開催された欧州屈指の難コースとして知られています。
2028年ロサンゼルス大会のゴルフ会場は、ロサンゼルス近郊の名門リビエラ・カントリークラブに決まっています(IGF Los Angeles 2028)。PGAツアーの「ジェネシス招待」が長年開催されてきた歴史あるコースです。
オリンピックのゴルフは、夏季オリンピックの開催年(4年に1度)に、大会期間中の特定の週に集中して行われます。男子と女子で日程をずらし、それぞれ4日間・72ホールのストロークプレーで競うのが基本形です。
順位はあくまで72ホールの合計打数で決まり、上位3名がメダルを獲得します。メダルがかかる順位で同スコアの選手が並んだ場合はプレーオフで決着をつけます。近年の大会では、1ホールずつ決着を狙うサドンデス方式のプレーオフが用いられ、2020東京の男子銅メダル争いでは7人によるプレーオフ、女子の銀・銅争いでも稲見萌寧とリディア・コによるプレーオフが行われました。
メジャー大会のような予選カット(途中で下位の選手がふるい落とされる仕組み)は設けられておらず、出場した全選手が原則4日間プレーするのも五輪ゴルフの特徴です。
オリンピックのゴルフは、男女それぞれ60名の定員で争われます。出場資格は世界ランキングをベースに決まり、男子はOWGR(世界ゴルフランキング)、女子はRolex女子世界ランキングが基準になります(OWGR / Rolex Rankings)。
基本的な仕組みは次の通りです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 世界ランキング上位15名 | 自動的に出場権を獲得(ただし1国あたり最大4名まで) |
| 16位以下 | 各国最大2名まで、ランキング上位順に出場権 |
| 開催国枠 | 開催国から最低1名の出場を保証 |
| 大陸枠 | 各大陸(アフリカ・南北アメリカ・アジア・ヨーロッパ・オセアニア)から最低1名を保証 |
つまり、世界トップ15に入っていれば1国から最大4名まで出場できますが、それ以外の選手は1国あたり最大2名という上限があります。世界ランキング上位を多く抱える米国などの強豪国でも、上限のため全員が出られるわけではない、というのが五輪ゴルフ独特の難しさです。各国の最終的な代表は、この資格に基づいて確定します(日本代表の選考はJGA(日本ゴルフ協会)などが関わります)。
オリンピックのゴルフには、賞金は一切ありません。これは五輪競技全般に共通するルールで、選手が手にするのは金・銀・銅のメダルと、オリンピアンとしての名誉です。
年間を通じて巨額の賞金を争うPGAツアーやLPGAツアーのトッププロにとっても、五輪は「賞金ゼロ」で戦う特別な舞台です。それでも世界トップ選手の多くが出場を熱望するのは、オリンピックメダルがゴルフの賞金ランキングやメジャー優勝とはまったく別の価値を持つからです。実際、2020東京で銅メダルを獲得したC.T.パンは「PGAツアー優勝よりも価値がある」と語っています。
メダル獲得は選手のキャリアにおける一生の勲章となり、国を背負って戦うという通常のツアーにはない重みも、五輪ゴルフの大きな魅力になっています。
日本勢にとってオリンピックゴルフは、回を追うごとに存在感を増してきた舞台です。各大会の主な成績を整理します。
復活初年度のリオ大会には、男子は池田勇太・片山晋呉、女子は野村敏京・大山志保が出場しました。当時の日本男子最上位だった松山英樹は、ジカ熱(Zika)流行への懸念を理由に出場を辞退しています(Golf Digest)。この大会では日本勢のメダル獲得はありませんでした。なお、ジカ熱への懸念から辞退したトップ選手は松山だけでなく、ジェイソン・デイ、ローリー・マキロイ、ジョーダン・スピースら世界の有力選手にも相次ぎました。
自国開催となった東京大会(霞ヶ関カンツリー倶楽部)は、日本にとって最高の舞台になりました。女子で稲見萌寧が銀メダルを獲得。最終的に16アンダーでリディア・コと並び、銀メダルをかけたプレーオフを制しての快挙でした(金は17アンダーのネリー・コルダ)。
男子では松山英樹が4位タイ。銅メダルがかかった7人によるプレーオフに進みましたが、最初のホールで敗退し、あと一歩でメダルに届きませんでした(銅はC.T.パン)。
パリ大会(ル・ゴルフ・ナショナル)では、松山英樹がついに銅メダルを獲得しました。17アンダーの単独3位でフィニッシュし、プレーオフを経ずにメダルを確定させています(金は19アンダーのスコッティ・シェフラー、銀はトミー・フリートウッド)。男子日本勢として五輪初メダルです。
女子では、五輪初出場の山下美夢有が4位と健闘し、惜しくもメダルには届きませんでした(金はリディア・コ)。
復活後の3大会の男女メダリストは以下の通りです。
| 大会 | 金 | 銀 | 銅 |
|---|---|---|---|
| 2016 リオ | ジャスティン・ローズ(英国) | ヘンリク・ステンソン(スウェーデン) | マット・クーチャー(米国) |
| 2020 東京 | ザンダー・シャウフェレ(米国) | ローリー・サバティーニ(スロバキア) | C.T.パン(チャイニーズタイペイ) |
| 2024 パリ | スコッティ・シェフラー(米国) | トミー・フリートウッド(英国) | 松山英樹(日本) |
| 大会 | 金 | 銀 | 銅 |
|---|---|---|---|
| 2016 リオ | パク・インビ(韓国) | リディア・コ(ニュージーランド) | フォン・シャンシャン(中国) |
| 2020 東京 | ネリー・コルダ(米国) | 稲見萌寧(日本) | リディア・コ(ニュージーランド) |
| 2024 パリ | リディア・コ(ニュージーランド) | エスター・ヘンセライト(ドイツ) | リン・シユ(中国) |
注目は女子のリディア・コで、2016リオの銀、2020東京の銅、2024パリの金と、金・銀・銅の3色すべてのメダルを獲得した史上初のゴルファーになりました。男子では、2020東京で金を獲得したザンダー・シャウフェレ、2024パリで圧巻のプレーで金に輝いたスコッティ・シェフラーが、いずれも世界ランキング上位の常連として2028年大会でも優勝候補に挙げられます。
日本でのオリンピック中継は、NHKと民放各局が共同で放送権を持つ「ジャパンコンソーシアム」体制で行われ、地上波・BSで競技の模様が放送されます。ゴルフも大会期間中、これらのチャンネルで中継・ハイライトが楽しめます。
ネット配信では、民放公式のTVerやNHK・民放の特設配信サイト(過去大会ではgorin.jpなど)でライブ配信・見逃し配信が提供されてきました。あわせて、オリンピック公式サイトolympics.comでも、競技日程や結果、ニュースを日本語で確認できます。
放送・配信の編成は大会ごとに変わるため、観戦前に各局・各サービスの最新の予定を確認するのがおすすめです。
オリンピックと同じく「国を代表して戦う」国別対抗の要素を持つゴルフ大会は、ほかにもいくつかあります。
また、プロの国際対抗戦としては、米国対欧州のライダーカップ、米国対インターナショナル(欧州を除く世界選抜)のプレジデンツカップが世界的に高い人気を誇ります。五輪と同じ「国・地域を背負って戦う」緊張感を味わえる大会として、あわせてチェックするとゴルフ観戦の幅が広がります。
個人戦です。男子・女子それぞれが個人で72ホール(4日間)のストロークプレーを戦い、合計打数の少ない上位3名が金・銀・銅メダルを獲得します。団体戦(チーム戦)は実施されていません。
2020東京大会で稲見萌寧が女子で銀メダル、2024パリ大会で松山英樹が男子で銅メダルを獲得しています。また2024パリでは山下美夢有が女子4位と健闘しました。
ゴルフは1900年(パリ)・1904年(セントルイス)の初期オリンピックで実施されたあと、長くプログラムから外れていました。2009年のIOC総会で正式種目への復帰が決まり、2016年リオ大会で1904年以来112年ぶりに復活しました。
男女各60名の定員で、男子はOWGR(世界ゴルフランキング)、女子はRolex女子世界ランキングが基準です。上位15名は自動出場(1国最大4名まで)、16位以下は各国最大2名まで。さらに開催国と各大陸から最低1名の出場が保証されます。
2028年のロサンゼルス大会で開催予定です。会場は米国カリフォルニア州の名門、リビエラ・カントリークラブに決まっています。
出ません。オリンピックは賞金のない大会で、選手が得るのはメダルと名誉です。これは五輪競技全般に共通するルールです。
メダルがかかる順位で同スコアの選手が並んだ場合はプレーオフで決着します。近年の大会では1ホールずつ争うサドンデス方式が用いられ、2020東京の男子銅メダルは7人によるプレーオフで決まりました。
霞ヶ関カンツリー倶楽部は1929年開場の日本を代表する名門コースで、過去にも国際大会を開催してきた実績があります。こうした歴史と立地、コースの完成度が評価され、東京2020大会のゴルフ会場に選ばれました。
最終更新: 2026-06-01