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分析コラム

ゴルフ中継の視聴率と放送の歴史

日曜の午後、地上波のゴルフ中継が15%を超えていた時代がありました。ビデオリサーチが公開している歴代の高視聴率番組を見ると、男子ゴルフの上位はNHK総合と日本テレビの1980年代の枠に集中しています。いまマスターズを見ようとすれば深夜の放送か配信サービスになり、国内女子ツアーの大半は特定の配信サービスとの契約が前提です。このページでは、公開されている視聴率の実数と各社・各団体の公式発表だけを使って、ゴルフ中継が地上波の黄金期から配信の時代へ移っていった過程を年表として整理します。視聴率の年ごとのデータは有料の調査資料にしかないため、ここでは公開されている値だけを扱い、取れない部分は取れないまま残しています。

地上波黄金期 — 日曜午後に15%を超えていた時代

ビデオリサーチは、関東地区の「ゴルフ高世帯視聴率番組」を公式サイトで公開しています。1977年9月26日のオンライン調査開始以降が対象で、放送分数15分未満の番組とハイライト・総集編は除外し、年ごと・大会ごとに最高のもの1番組だけを抽出したランキングです。男子ゴルフの上位は次のとおりです。

順位 番組名 放送日 放送開始 分数 放送局 世帯視聴率 優勝
1 '87全米オープンゴルフ 1987年6月21日 7:15 45分 NHK総合 18.6% シンプソン
2 '81ゴルフ日本シリーズ中継・最終日 1981年12月6日 15:15 115分 日本テレビ 18.3% 羽川豊
3 '83ゴルフ日本シリーズ最終日 1983年12月4日 15:00 115分 日本テレビ 17.8% 青木功
4 '89全米オープンゴルフ・最終日 1989年6月19日 6:15 38分 NHK総合 17.6% ストレンジ
5 '87日本オープンゴルフ・最終日 1987年10月11日 13:30 150分 NHK総合 16.1% 青木功
5 第74回日本オープンゴルフ選手権・最終日 2009年10月18日 13:05 210分 NHK総合 16.1% 小田龍一
7 '82日本プロゴルフ選手権・最終日 1982年7月25日 15:00 115分 日本テレビ 16.0% 倉本昌弘
7 '83サントリーオープンゴルフ・最終日 1983年9月11日 15:00 115分 日本テレビ 16.0% 中島常幸
9 '93ゴルフ日本シリーズ・日立カップ最終日 1993年12月5日 15:00 115分 日本テレビ 15.6% 中島常幸
10 1983年日本オープンゴルフ最終日 1983年10月2日 13:30 185分 NHK総合 15.5% 青木功
10 '88全米オープンゴルフ決勝ラウンド・最終日 1988年6月20日 6:15 40分 NHK総合 15.5% ストレンジ

この11本から読み取れることは3つあります。

黄金期という言い方をするなら、それは「日曜の午後に、ゴルフの長時間枠が地上波に固定されていた期間」を指します。数字はその枠の産物でもあり、選手の人気だけで説明できるものではありません。

視聴率のピークたち — 誰の時代に数字が動いたか

女子ゴルフの歴代上位も同じ条件(ビデオリサーチ調べ・関東地区・世帯視聴率)で公開されています。

順位 番組名 放送日 放送開始 分数 放送局 世帯視聴率 優勝
1 Takara INVITATIONAL'87レディスゴルフトーナメント・最終日 1987年10月11日 16:00 85分 テレビ朝日 17.6% ゲディス
2 '87マツダジャパンクラシックゴルフ・最終日 1987年11月8日 15:30 114分 TBS 16.0% 森口祐子
3 '88全米女子オープンゴルフ決勝ラウンド・最終日 1988年7月25日 6:33 22分 NHK総合 15.4% ノイマン
4 第38回日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯・最終日 2005年9月11日 15:30 115分 テレビ朝日 14.1% 不動裕理
5 第14回国際オープンゴルフトーナメント東海クラシック女子決勝ラウンド最終日 1983年10月9日 14:30 55分 フジテレビ 14.0% 呉明月
6 '86全米女子オープンゴルフ最終日・決勝ラウンド 1986年7月14日 6:15 20分 NHK総合 13.9% ゲディス
7 2005ヴァーナルレディースゴルフ最終日 2005年5月15日 15:30 84分 TBS 13.7% 宮里藍
7 富士通レディース2005・ゴルフ・最終日 2005年10月16日 16:00 85分 テレビ朝日 13.7% 不動裕理
9 LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップゴルフ2019・最終日 2019年12月1日 15:00 85分 日本テレビ 13.6% ペソンウ
10 新キャタピラー三菱レディース2005ゴルフ・最終日 2005年8月21日 16:00 85分 テレビ朝日 13.2% 宮里藍

このデータから言えること

このデータから言えないこと

「石川遼ブーム」「松山英樹のマスターズ制覇」「渋野日向子の全英制覇」は、いずれもこの歴代上位には現れません。

選手の人気が視聴率に影響しない、という意味ではありません。このランキングが世帯視聴率・関東地区・年ごと1本抽出という設計である以上、選手単位の効果を切り出せないというだけです。

2021年マスターズという例外

松山英樹がアジア出身選手として初めてマスターズを制した2021年、TBSは日本時間4月12日の午前3時30分から90分の枠で中継しました。この枠の世帯平均視聴率は5.4%、同じ枠の前4週平均は1.5%でした。占拠率(その時間にテレビをつけていた世帯のうち、この番組を見ていた割合)は53.3%で、深夜にテレビを見ていた世帯の半分以上がこの中継を選んだことになります(デイリースポーツ2021年4月12日報道。原典はビデオリサーチ日報調べ・関東地区)。

同じ記事によれば、中継が終わった午前5時の時点で松山はまだ6番ホールをプレー中でした。5.4%は優勝の瞬間の数字ではありません。それでも同じ枠の通常時のおよそ3.6倍(5.4÷1.5=3.6)にあたり、深夜3時台としては極端な数字です。1980年代の日曜午後の15%台とは放送時間帯が違いすぎるため、同じ土俵で比較することはできません。

地上波の後退 — 何が減って、何が残ったか

公開されている出典で確認できる範囲を年表にすると、次のようになります。

出来事 出典
1962年 ビデオリサーチが関東地区で視聴率調査を開始。以後の全局歴代上位50番組にゴルフ中継は1本も入っていない ビデオリサーチ
1977年 オンライン調査開始。ゴルフの歴代ランキングはこの日以降が対象 ビデオリサーチ
1987年 男子の歴代最高18.6%(全米オープン・NHK総合) ビデオリサーチ
1993年 男子の歴代上位入りは、この年のゴルフ日本シリーズ日立カップ(15.6%)を最後に途切れる ビデオリサーチ
1996年 ゴルフ専門チャンネル「ゴルフネットワーク」開局。CS放送やケーブルテレビでの視聴が始まる ゴルフネットワーク
2005年 女子の歴代上位10本のうち4本がこの年に集中 ビデオリサーチ
2009年 男子の日本オープン最終日が16.1%。1993年より後で唯一の歴代上位入り ビデオリサーチ
2019年 女子のリコーカップ最終日が13.6%。2010年代で唯一の歴代上位入り ビデオリサーチ
2021年 マスターズはTBSの午前3時30分からの90分枠。5.4%(同じ枠の前4週平均は1.5%) デイリースポーツ(原典はビデオリサーチ)
2024年 国内女子ツアーは「これまで通りの地上波放送、BS放送並びにCS放送に加え」ネット配信を実施 日本女子プロゴルフ協会

消えたのは枠ではなく時間帯

地上波の中継そのものが無くなったわけではありません。日本女子プロゴルフ協会は2024年の配信告知で「これまで通りの地上波放送、BS放送並びにCS放送に加え」と書いており、地上波・BS・CSは前提として残っています。

変わったのは、中継が置かれる時間帯です。ビデオリサーチのランキングに載っている放送開始時刻を並べると、その移動が見えます。

区分 放送開始 分数
1980年代の国内大会 '81ゴルフ日本シリーズ最終日 15:15 115分
1980年代の海外メジャー '87全米オープン 7:15 45分
2009年の国内大会 第74回日本オープン最終日 13:05 210分
2019年の国内女子大会 リコーカップ2019最終日 15:00 85分
2021年の海外メジャー マスターズ2021(TBS) 3:30 90分

国内大会は2019年時点でも日曜午後に置かれています。深夜に移ったのは、時差のある海外大会の中継です。

規模の話

もうひとつ押さえておきたいのは、ゴルフ中継はもともと地上波スポーツの最上位ではなかったという点です。ビデオリサーチの全局歴代上位50番組(1962年12月3日の調査開始以降が対象)に、ゴルフ中継は1本も入っていません。同じ関東地区で、プロ野球の歴代最高は1994年10月8日の中日対巨人戦の48.8%です。ゴルフの歴代最高18.6%は、その4割弱(18.6÷48.8=0.38)にあたります。

「かつて国民的だった中継が消えた」というより、「もともと中位の枠だったものが、時間帯の移動と視聴経路の分散でさらに見えにくくなった」と読むほうが、公開されているデータとは整合します。

このセクションの限界

年ごとのゴルフ中継の本数そのものは、このページでは出していません。通年で集計した公開データを一次ソースで確認できなかったためです。推測での穴埋めはしていません。

配信への移行 — 各社の公式発表で追う年表

配信側は、各社・各団体の公式発表だけで年表が組めます。

年月 出来事 一次ソース
2016年4月 日本女子プロゴルフ協会が「サイバーエージェント レディスゴルフトーナメント」を、開局直後のAbemaTVで無料ライブ中継 日本女子プロゴルフ協会
2017年1月 AbemaTVが「ゴルフチャンネル」を開設(1月26日開設。欧州男子ツアーとUS LPGAツアーが中心・無料) AbemaTV
2018年3月 国内男子の下部ツアー「チャレンジトーナメント」が「AbemaTVツアー」に。全戦を無料配信 AbemaTV
2021年6月 U-NEXTが初のゴルフライブ配信(アース・モンダミンカップを独占配信) U-NEXT
2021年10月 国内女子ツアーが「GOLFTV」から一括ネット配信を開始 日本女子プロゴルフ協会
2022年3月 国内女子ツアーの一括配信がDAZNに(全38大会中36大会) 日本女子プロゴルフ協会
2023年11月 ゴルフネットワークがPGAツアーの2024年1月からの独占有料放送権と同時配信権を獲得 ゴルフネットワーク
2024年2月 国内女子ツアーはDAZNとU-NEXTの2社が全37大会中35大会を配信 日本女子プロゴルフ協会
2025年2月 国内女子ツアーがU-NEXTの独占配信に(2025年から2029年までの5年契約。全37大会中35大会に加えステップ・アップ・ツアー22大会と予選会ファイナル) 日本女子プロゴルフ協会
2025年度 国内男子の下部ツアーが「ACNツアー」として実施 ACNグループ
2025年12月 U-NEXTが「ワールドゴルフパック」(月額2,600円・税込)を提供開始 U-NEXT
2026年 国内女子ツアーは37大会中35大会をU-NEXTが配信 日本女子プロゴルフ協会

主役が短期間で入れ替わっている

国内女子ツアーの一括配信先は、AbemaTVでの単発配信から数えると、GOLFTV、DAZN、DAZNとU-NEXTの2社体制、U-NEXTの独占と、10年で4回変わりました。視聴者から見れば「去年見ていたサービスで今年も見られるとは限らない」状態が続いてきたことになります。独占契約は視聴環境を安定させる面もありますが、契約が切り替わるたびに視聴者側の手当てが必要になります。

いっぽうで、無料で見られる領域も残りました。2018年から国内男子の下部ツアーは配信事業者の冠大会として全戦無料配信され、冠スポンサーが交代したあとも、日本ゴルフツアー機構の公式チャンネル「JGTOTV」にACNツアーの再生リストが置かれています。

なお、冠スポンサーの契約終了を明示した当事者の発表は確認できませんでした。ここでは「2025年度からACNツアーとして実施している」というスポンサー側の公式記載までを事実として扱っています。

いま何で見るか — 2026年の視聴手段マップ

2026年時点で公表されている情報を整理すると、見たいものによって入口が分かれます。

見たいもの 主な視聴手段 出典
国内女子ツアー 地上波・BS・CSの中継に加え、U-NEXTが全37大会中35大会をライブ配信(日本女子オープンとTOTOジャパンクラシックを除く) 日本女子プロゴルフ協会
国内男子の下部ツアー 日本ゴルフツアー機構の公式チャンネル「JGTOTV」にACNツアーの再生リスト 日本ゴルフツアー機構
PGAツアー(海外男子) ゴルフネットワークがCS放送・ケーブルテレビ・IP放送で放送。ゴルフネットワークプラスなどで同時配信 ゴルフネットワーク
海外メジャーとLPGAツアー(海外女子) U-NEXTの「ワールドゴルフパック」(月額2,600円・税込) U-NEXT
ゴルフ番組全般 ゴルフ専門チャンネル「ゴルフネットワーク」(1996年開局。CS放送とネット配信) ゴルフネットワーク

国内男子のレギュラーツアーは大会ごとに放送・配信の体制が異なるため、この表では一括りにしていません。大会公式の告知を確認するのが最も確実です。

配信契約は年単位で更新されます。上の表は各社・各団体の公式発表を並べたもので、視聴前には必ず該当大会の公式告知をご確認ください。どのツアーがどういう位置づけなのかを先に知りたい場合は、ツアーの解説からご覧いただくと全体像がつかめます。

露出構造の変化はスポンサー価値に何をしたか

日本のテレビ・新聞・雑誌・ラジオ(マスコミ四媒体)の広告費の年次推移グラフ
テレビ・新聞・雑誌・ラジオ(マスコミ四媒体)の広告費の推移。ゴルフ中継に限った数値ではなく全業種の合計で、冠協賛の原資になる広告予算が全体としてどう動いたかの背景として置いています

ここまでは公開されている数値と公式発表です。ここからは、そこから何が言えそうかを、根拠と限界を分けて書きます。

事実として確認できること

ここからは解釈

大会の冠協賛は、多くの場合スポンサー企業の広告・広報予算から支出されます。地上波の中継枠が希少で、日曜午後に長時間固定されていた時代には、「冠を付ければ全国に露出する」という説明が成立しやすかったはずです。

その前提は、海外大会の深夜帯への移動と、視聴経路の分散によって弱くなりました。深夜の中継や、契約者だけが見られる配信は、露出の総量が同じでも「誰に届いたか」の説明の仕方が変わります。ツアー団体自身がメディアコンテンツの充実を新会社の事業案に挙げているのは、この説明が以前より重くなっていることの表れと読むこともできます。

この見方の限界

スポンサー支出がどこへ向かったのかは、大会協賛・所属契約・インフルエンサー起用を分けて見る必要があります。

よくある質問

ゴルフ中継の歴代最高視聴率は何%ですか?

ビデオリサーチが公開している関東地区の歴代ランキングでは、男子が1987年6月21日の「'87全米オープンゴルフ」(NHK総合)の18.6%、女子が1987年10月11日の「Takara INVITATIONAL'87レディスゴルフトーナメント・最終日」(テレビ朝日)の17.6%です。いずれも番組平均の世帯視聴率で、1977年9月26日のオンライン調査開始以降が対象。放送分数15分未満の番組とハイライト・総集編は除かれ、年ごと・大会ごとに最高の1番組だけが抽出されています。

ゴルフ中継はもう地上波では見られないのですか?

見られます。日本女子プロゴルフ協会は2024年の配信告知で「これまで通りの地上波放送、BS放送並びにCS放送に加え」ネット配信を行うと書いており、地上波・BS・CSは前提として残っています。変わったのは時間帯と経路です。時差のある海外大会は深夜・早朝に置かれ、同じ試合を配信サービスでも見られるようになりました。

石川遼や松山英樹、渋野日向子が活躍した試合の視聴率はどれくらいですか?

ビデオリサーチが公開している歴代上位10本には、3選手の優勝試合は1本も入っていません。男子で1993年より後に唯一入っているのは2009年の第74回日本オープン最終日(16.1%)で、優勝は小田龍一です。個別に公表されている数字としては、松山英樹が優勝した2021年マスターズのTBS中継(午前3時30分から90分)が世帯平均5.4%、占拠率53.3%、同じ枠の前4週平均が1.5%と報じられています(デイリースポーツ。原典はビデオリサーチ日報調べ・関東地区)。

国内女子ツアーを見るには何が必要ですか?

地上波・BS・CSの中継に加えて、公式のネット配信はU-NEXTが担っています。日本女子プロゴルフ協会は2025年に2025年から2029年までの5年契約を発表し、2026年も全37大会中35大会(日本女子オープンとTOTOジャパンクラシックを除く)を配信すると告知しています。契約は年ごとに更新されるため、視聴前に各大会の公式告知をご確認ください。

海外のツアーやメジャーはどこで見られますか?

PGAツアーは、日本国内のCS放送・ケーブルテレビ・IP放送の権利をゴルフネットワークが持ち、ゴルフネットワークプラスなどで同時配信されています。海外メジャーとLPGAツアーについては、U-NEXTが2025年12月25日から「ワールドゴルフパック」(月額2,600円・税込)を提供しています。放送・配信の権利は年ごとに動くため、その年の公式発表の確認をおすすめします。

ゴルフ中継の視聴率を年ごとに並べたデータはありますか?

一般に公開されているのは、ビデオリサーチの歴代高視聴率ランキングと、個別に報じられた実数だけです。年ごとに連続したデータは有料の調査資料にしかないため、このページでは公開されている値だけを出典付きで掲載し、取れない年は空欄のまま残しています。推測や補間による穴埋めはしていません。

昔の視聴率と今の視聴率をそのまま比べてよいのですか?

比べる際には条件をそろえる必要があります。このページで扱った歴代ランキングは世帯視聴率・関東地区の数字で、1980年代の国内大会は日曜午後の115分から210分の枠、2021年のマスターズは午前3時30分からの90分枠と、放送時間帯も長さも異なります。加えて現在は同じ試合を配信サービスでも視聴できるため、テレビの視聴率だけでは到達した人数を表しきれません。

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出典

最終更新: 2026-08-03