1 2 3

ゴルフ市場データゴルフメディア

分析コラム

ゴルフ雑誌の部数推移と専門誌の役割

ゴルフ雑誌が消えたわけではありません。2026年もゴルフダイジェスト社の月刊・週刊2誌、三栄のGOLF TODAY、実業之日本社のワッグル、株式会社ALBAのALBA TROSS-VIEWが刊行を続けています。変わったのは規模です。日本雑誌協会が公表する印刷証明付き発行部数を2008年から並べると、週刊ゴルフダイジェストは20万部台から5万部台へ、月刊ゴルフダイジェストも18万部台から5万部台へ下がりました。このページでは、雑誌市場全体の縮小、主要誌の創刊・休刊の年表、公開されている部数の実数、専門誌が果たした役割の変化、そしてデジタルへの移行を、一次ソースだけで整理します。

雑誌市場全体の縮小

紙の雑誌の推定販売金額の年次推移を示す折れ線グラフ
紙の雑誌の推定販売金額(取次ルート)。一次ソースで確認できた年のみを収録しているため歯抜けがある(全国出版協会・出版科学研究所)

ゴルフ専門誌の話をする前に、雑誌というメディア全体がどうなったかを確認します。

全国出版協会・出版科学研究所は、月刊誌・週刊誌ともに推定販売金額のピークを1997年としています。週刊誌については、インターネットとスマートフォンの普及で速報性がウェブメディアにかなわなくなり、ピーク時の6分の1以下にまで縮小したと説明しています。あわせて、休刊点数が創刊点数を上回って総銘柄数が減り続けていること、メジャーな雑誌ですら不定期刊やムックへ移行していることも記されています。

下のグラフと表は、紙の雑誌全体の推定販売金額です。一次ソースで確認できた年だけを収録しているため歯抜けがありますが、直近の縮小ペースは読み取れます。

広告の側も同じ方向に動いています。電通「日本の広告費」が公表する雑誌広告費は次のとおりです。

雑誌広告費 前年比
2010年 2,733億円 90.1%
2015年 2,443億円 97.7%
2020年 1,223億円 73.0%
2025年 1,135億円 96.3%

2015年と2025年を比べると、雑誌広告費は10年で半分以下(1,135÷2,443=約0.46)になりました。販売と広告という雑誌の二本柱が同時に細っている——これがゴルフ専門誌の置かれた前提条件です。

紙の雑誌の推定販売金額(確認できた年のみ)(2017–2025年) 単位: 億円

定義: 全国出版協会・出版科学研究所が発表する、紙の雑誌の推定販売金額(取次ルート経由)。月刊誌(定期誌・ムック・コミックス単行本を含む)と週刊誌の合計で、電子雑誌・電子コミックは含まない。暦年(1〜12月期累計)ベース。数値は各年1月に発表される同研究所のニュースリリースの公表値。

注: 電子出版(電子雑誌・電子コミック)は含まない。紙の雑誌のみの数値。

注: コミックス単行本とムックは「月刊誌」に含まれるため、いわゆる定期刊行の雑誌だけの金額ではない。

注: 2018年・2019年および2016年以前は入っていない。出版科学研究所の公式サイトは2021年4月に全面リニューアルされ、ニュースリリースのアーカイブが2021年3月以降分(および2018年1月分)しか残っていないため、一次ソースで確認できた年のみを収録している(年次系列の正本『出版指標 年報』は有料刊行物、公式サイトの年次推移はグラフ画像のみで数値が読めない)。

ゴルフ専門誌の系譜

日本のゴルフ専門誌は1960年代に始まり、1980年代後半から2010年代前半にかけて銘柄が枝分かれしていきました。

下の年表に載せたのは、発行元自身が公表している沿革か、国立国会図書館の書誌で確認できた年月だけです。確認できなかった誌名・年月は載せていません。

年月 出来事 確認したソース
1961年8月 『ゴルフダイジェスト』創刊(のちの月刊ゴルフダイジェスト) ゴルフダイジェスト社の沿革
1966年1月 週刊誌タイプの『別冊ゴルフダイジェスト』創刊 同上
1968年5月 ゴルフ場運営の研究誌『ゴルフ場セミナー』創刊 同上
1971年 『週刊パーゴルフ』創刊(学習研究社) 国立国会図書館の書誌(1971-1992年)
1972年7月 『別冊ゴルフダイジェスト』が週刊化し『週刊ゴルフダイジェスト』に改題 ゴルフダイジェスト社の沿革
1980年7月 『Choice』創刊 同上
1987年4月 『ALBA TROSS-VIEW』創刊(小池書院) 株式会社ALBAの沿革
1988年11月 『スーパーゴルフダイジェスト』創刊(1993年3月まで) ゴルフダイジェスト社の沿革
1989年9月 女性向け『HaRe』創刊(1992年3月まで) 同上
1991年 『GOLF TODAY』創刊 三栄の広告媒体案内
1992年 『週刊パーゴルフ』が『Pargolf』に改題 国立国会図書館の書誌
1992年4月 『ワッグル』創刊 実業之日本社の媒体資料
2003年10月 映像誌『レッスンの王様』創刊(2007年3月まで) ゴルフダイジェスト社の沿革
2006年10月 女性向け『Regina』創刊 株式会社ALBAの沿革
2010年10月 富裕層向け『CARRY million-mile』創刊 同上
2011年4月 女性向け『greenie』創刊 同上
2013年3月 『Regina』と『greenie』を統合し『Regina PREMIUM』創刊 同上
2013年4月 『DE-double eagle-』創刊 同上
2013年10月 ゴルフ漫画誌『ボギー』創刊(2016年4月まで) ゴルフダイジェスト社の沿革
2021年 『週刊パーゴルフ』休刊 出版科学研究所
2024年4月 『Choice』が2024年4月発売号で休刊 ゴルフダイジェスト社の広告案内

年表から読み取れることが2つあります。1つは、創刊が特定の年代に固まっておらず、女性向け・富裕層向け・漫画誌といった細分化の試みが繰り返されてきたこと。もう1つは、長く続いた銘柄の休刊が2020年代に入って表面化したことです。速報性を売る週刊という形式が不利になり、隔月刊・季刊・ムックへ移る流れは、ゴルフに限らず雑誌全体で起きています。

部数はどう動いたか

部数の話は、公開されている数字がいかに少ないかから始める必要があります。

誰でも確認できるのは、日本雑誌協会が四半期ごとに公表している印刷証明付き発行部数です。ゴルフの区分に載っているのは月刊ゴルフダイジェストと週刊ゴルフダイジェストの2誌だけで、ほかのゴルフ専門誌はこの公表に参加していません。

季節差を避けるため、各年の1〜3月期だけを抜き出しました。いずれもその期間に発売された1号あたりの平均印刷部数です。

算定期間 月刊ゴルフダイジェスト 週刊ゴルフダイジェスト
2009年1〜3月 173,450 214,016
2011年1〜3月 182,800 200,274
2013年1〜3月 179,084 168,238
2015年1〜3月 157,450 148,939
2017年1〜3月 137,027 126,218
2019年1〜3月 119,207 102,848
2021年1〜3月 101,200 84,088
2023年1〜3月 79,773 65,335
2025年1〜3月 69,193 62,875
2026年1〜3月 58,110 52,146

(日本雑誌協会「印刷証明付部数」、2026年8月3日確認。2018年10〜12月期より前は同協会の旧公表ページ、以降は現行ページの数値)

公表が始まった2008年4〜6月期以降でもっとも多かったのは、週刊が234,596部(2008年4〜6月期)、月刊が189,900部(2012年10〜12月期)です。直近の2026年1〜3月期と比べると、週刊は約22%(52,146÷234,596)、月刊は約31%(58,110÷189,900)まで下がりました。ただし週刊の234,596部は公表初回の数字なので、それ以前の実際のピークは非公開です。

読むときの注意点が2つあります。1つは、これが印刷部数であって販売部数ではないこと。返品分を含むため実売はこれより少なくなります。もう1つは、日本ABC協会が公査する販売部数のレポートは会員向けで、一般には公開されていないことです。

日本雑誌協会の公表に参加していない雑誌のうち、発行元が自社の広告案内で部数を出しているものは次のとおりです。

雑誌 発行元 公表部数 確認日
GOLF TODAY 三栄 100,000部 2026年8月3日
ワッグル 実業之日本社 約100,000部 2026年8月3日

どちらも印刷証明付きとは明記されておらず、上の表の数字とは性格が違います。株式会社ALBAは媒体資料を請求制にしているため、『ALBA TROSS-VIEW』の部数は一般には公開されていません。休刊した『週刊パーゴルフ』の部数系列も同様に非公開です。

専門誌が果たした役割

ゴルフ専門誌が長く持っていたのは、情報そのものではなく情報への通路でした。

新製品のスペックとテスト結果、トッププロのレッスン、ツアーの結果と現場の空気。1990年代まで、この3つをまとめて手に入れられる場所は専門誌以外にほとんどありませんでした。週刊という形式が成り立っていたのも、試合の結果を紙で追うことに速報の意味があったからです。

この前提は領域ごとに崩れました。

ここからは意見です。専門誌が失ったのは読者そのものではなく、独占だったと考えています。ゴルフを深く知りたい人が消えたのではなく、その人たちが同じ情報に別の入口から到達できるようになった——という理解のほうが、発行元各社がウェブと動画を並行して持つようになった事実と整合します。

同時に、置き換えが起きていない領域も残っています。何十本もの新製品から何を選ぶべきかを、責任の所在を明らかにして示す仕事や、長期取材にもとづく人物記事は、単発の動画やニュース記事では代わりにくい部分です。

デジタル移行の現在地

雑誌を出している各社は、いまは紙以外の面も持っています。発行元自身が公表している範囲でまとめます。

発行元 雑誌 デジタル
ゴルフダイジェスト社 月刊ゴルフダイジェスト、週刊ゴルフダイジェスト、ゴルフダイジェスト・トラベラー、ゴルフ場セミナー 2012年8月に週刊の電子版を発売、2013年11月にウェブメディア「みんなのゴルフダイジェスト」、2021年5月に会員制の「Myゴルフダイジェスト」
株式会社ALBA ALBA TROSS-VIEW ゴルフ情報サイト「ALBA.Net」、女性向け「Regina」のウェブ版、2017年11月配信開始の動画サービス「ALBA TV」
三栄 GOLF TODAY ウェブメディア「ゴルフサプリ」
実業之日本社 ワッグル ワッグルのウェブサイト

規模の一例として、三栄は「ゴルフサプリ」の月間総PVを560万PV、月間総UU数を240万UUと公表しています(2025年7月時点)。同社が公表するGOLF TODAYの発行部数は100,000部なので、単純に割れば56倍にあたります。ただしPVは1人が複数ページを見れば増える指標で、雑誌の部数とは数え方が違います。置き換え比率ではなく、規模感の目安として見てください。

一方で、紙をやめてウェブへ移ったという整理も正確ではありません。ゴルフダイジェスト社は会員制サイトで週刊・月刊の電子版を読み放題にしており、紙を畳むのではなく紙を含めて束ねる形を選んでいます。株式会社ALBAは媒体資料を請求制にしているため、雑誌とウェブの規模を横並びで比べる材料自体が公開されていません。

なお、休刊した『週刊パーゴルフ』のウェブサイト「パーゴルフPLUS」も2021年6月末で運営を終了したと報じられています。紙とウェブが同時に畳まれた例で、雑誌からウェブへ人が自動的に移るわけではないことを示しています。

見通し

見通しを断定できるデータはありません。公表値から言えることと、言えないことを分けて書きます。

数字で言えること

数字では言えないこと

そのうえでの見立てです。ゴルフ雑誌の役割は、速報と網羅から、選別と編集へ寄っていくと考えています。何が新しいかを知るだけならウェブと動画で足りるようになった一方、大量の選択肢のなかから何を選ぶべきかを、根拠と責任の所在をつけて示す仕事は残ります。発行元各社が雑誌を畳まずにウェブ・動画・会員サービスと並べて持っているのは、紙にその役割を残す判断だと読めます。

このページの数字は毎年更新します。日本雑誌協会の印刷部数公表は四半期ごと、出版科学研究所の年間統計は毎年1月下旬に出ます。

よくある質問

ゴルフ雑誌は廃刊になったのですか?

いいえ。2026年8月時点で、月刊ゴルフダイジェストと週刊ゴルフダイジェスト(ゴルフダイジェスト社)、GOLF TODAY(三栄)、ワッグル(実業之日本社)、ALBA TROSS-VIEW(株式会社ALBA)などが刊行を続けています。休刊したのは『週刊パーゴルフ』(2021年)や『Choice』(2024年4月発売号)などで、専門誌というジャンルが消えたわけではありません。

ゴルフダイジェストの発行部数はどれくらいですか?

日本雑誌協会の印刷証明付き発行部数(2026年1〜3月期)では、月刊ゴルフダイジェストが58,110部、週刊ゴルフダイジェストが52,146部です。いずれもその期間に発売された1号あたりの平均印刷部数で、販売部数ではありません。返品分を含むため、実売はこれより少なくなります。

ゴルフ雑誌の部数はどこで確認できますか?

日本雑誌協会のサイトで、四半期ごとの印刷証明付き発行部数を誰でも確認できます。ただしゴルフの区分に載っているのはゴルフダイジェスト社の2誌だけで、ほかの専門誌は参加していません。日本ABC協会が公査する販売部数のレポートは会員向けで、一般公開されていません。

ALBAやGOLF TODAYの部数は公開されていますか?

GOLF TODAYは三栄が広告媒体案内で100,000部、ワッグルは実業之日本社が媒体資料で約100,000部と公表しています(いずれも2026年8月3日確認)。どちらも印刷証明付きとは明記されていません。株式会社ALBAは媒体資料を請求制にしているため、『ALBA TROSS-VIEW』の部数は一般には公開されていません。

週刊パーゴルフはなぜ休刊したのですか?

出版科学研究所は、週刊誌が速報性でウェブメディアにかなわなくなり、ほぼ全ジャンルで大幅に減少している流れのなかで、2021年に『週刊パーゴルフ』が休刊したと記しています。同誌は1971年に学習研究社から創刊され、1992年に誌名を『Pargolf』へ改めた経緯が国立国会図書館の書誌で確認できます。休刊の個別要因までは公表資料からは特定できません。

紙を買わずにゴルフ雑誌を読む方法はありますか?

ゴルフダイジェスト社は2012年8月に週刊の電子版を発売し、2021年5月に始めた会員制サイトで週刊・月刊の電子版を読めるようにしています。他誌も電子書籍ストアで配信されています。購読条件や配信範囲は変わるため、購入前に各社の公式案内を確認してください。

部数が減ると記事の質は落ちますか?

部数と記事の質を直接結びつけられるデータはありません。公表資料から確認できるのは、発行元各社が雑誌に加えてウェブ・動画・会員サービスを持つ体制へ移り、収入源が部数だけではなくなっているという事実までです。

ゴルフメディアの関連記事

出典

最終更新: 2026-08-03