ゴルフ場は、一度つくると簡単には減らせない装置産業です。土地を造成し、芝を張り、クラブハウスを建てた設備は、来場者が減っても消えません。だから業界の調整は、施設数の減少ではなく所有者の入れ替わりというかたちで進みました。 このページでは、日本ゴルフ場経営者協会が1957年度から集計しているゴルフ場数と延べ利用者数の全年データを示したうえで、バブル期の開発、預託金の償還問題、専業運営会社による再編、そして現在の経営環境までを一次ソースの数字で追います。
日本のゴルフ場をめぐる30年は、次の3行に要約できます。
3つの数字を並べると差が際立ちます。
| 指標 | ピーク | 直近 | ピーク比 |
|---|---|---|---|
| ゴルフ場数 | 2,460か所(2002年度) | 2,172か所(2024年度) | -11.7% |
| 延べ利用者数 | 1億232万回(1992年度) | 8,750万回(2025年度速報) | -14.5% |
| ゴルフ参加人口(参考) | 1,450万人(1994年) | 480万人(2024年) | -66.9% |
ここからは解釈です。ゴルフ場という資産は、需要が落ちても物理的には残ります。残った施設をだれが持ち、いくらで回すのか——この30年に起きたのは、施設の消滅よりも経営主体の大規模な入れ替わりでした。以下、数字で順に確認していきます。
ゴルフ場数の動きは、大きく3つの局面に分かれます。
| 局面 | 期間 | 動き |
|---|---|---|
| 拡大期 | 1957〜1980年度 | 116か所から1,416か所へ。1970年代前半は年100か所を超えるペースで開場 |
| 遅れてきた開発 | 1981〜2002年度 | 1,419か所から2,460か所へ。バブル崩壊後も増え続け、2002年度にピーク |
| 縮小期 | 2003年度〜 | 2009年度の微増を除き、ほぼ毎年減少して2024年度は2,172か所 |
注目すべきは2つめの局面です。株価がピークを打ったのは1989年ですが、ゴルフ場数のピークはその13年後の2002年度でした。造成から開場までに長い時間がかかるため、バブル期に計画・認可されたコースが崩壊後も次々に開場したからです。1990年度の1,818か所から2002年度の2,460か所まで、崩壊後の12年間だけで642か所(35.3%)増えています。経営破綻が相次いだ時期と、施設が増え続けた時期はきれいに重なっていました。
縮小期の減り方は年10〜30か所程度で、急落ではありません。業界紙による別の集計でも同じ傾向が確認できます。一季出版『ゴルフ特信』の実地調査では、2025年4月中旬時点の全国営業中ゴルフ場は2,110コースで前年同期比11コース減、ピークだった2004年の2,356コースから10.4%減、2008年以降18年連続の減少とされています。同調査では暫定閉鎖中が47コース、建設中19か所・認可済み未着工20か所はいずれも動きなしと報告されており、新規開発は事実上止まっています。
地域差も出ています。同調査によると営業中コース数は千葉県155、兵庫県149、北海道141の順で、最少は島根県の7コース。2004年と比べて増えたのは千葉県(1コース増)だけで、減少数は北海道35、福島県25、栃木県23、減少率では福島県41.7%減が最大でした。閉鎖後の転用先としてメガソーラーやバイオマス発電が挙がっており、東日本大震災を契機に増えたと報告されています。
定義: 一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(NGK)が毎年公表する「ゴルフ場利用税の課税状況からみたゴルフ場数、延利用者数、利用税額等の推移」の『ゴルフ場数』。全国の都道府県に対するゴルフ場利用税(1988年度以前は娯楽施設利用税)の納税報告から集計した、年度単位の全国ゴルフ場数。**18ホール換算ではなく施設(コース)の数**であり、9ホールのコースも36ホール以上のコースも1か所として数える。
注: 年度の区切りは都道府県への納税報告ベースのため、実際のプレー実行月は各年度とも3月〜翌年2月(例: 2024年度=2024年3月〜2025年2月のプレー分)。暦年でも4月〜翌3月でもない。
注: 1957〜1988年度は娯楽施設利用税、1989年度(平成元年度)以降はゴルフ場利用税の課税状況に基づく集計。税目が切り替わる1989年度を系列断絶年として扱う。
注: 隣接都府県にまたがるゴルフ場が18か所あり、ゴルフ場数・利用者数が重複計上されている場合がある(原典 注4)。
注: ゴルフ場利用税が課されないゴルフ場(課税対象外の施設)は含まない。ショートコース等の取り扱いは原典の課税実務に従う。
注: NGK が月次で公表する『月別ゴルフ場数』(速報値)は、その月に納税報告のあったゴルフ場の数であり、積雪期は大きく減る(例: 2026年2月実行分は1,978か所)。本系列の年度値とは定義が異なるため混在させない。
注: 2025年度の値は本系列にはまだ入っていない(年次推移表の2025年版が未公表のため)。2026年秋〜冬に公表され次第、追記する。
延べ利用者数の要点は次のとおりです。
ここで効いてくるのが、冒頭に挙げた参加人口との差です。参加人口は3分の1になったのに、延べ回数は15%しか減っていません。差を埋めているのは、1人あたりのプレー回数です。
延べ利用者数を参加人口で機械的に割ると、次のようになります(推定値)。
30年で約2.7倍という計算になりますが、この倍率をそのまま受け取るのは危険です。理由は3つあります。
したがって「頻度が2.7倍になった」と断定はできません。確実に言えるのは方向だけです。ゴルフをやめた人の多くは年数回のライトユーザーで、残ったのは頻度の高い層だった——延べ回数の減り方が緩やかなことは、その解釈と整合します。
年齢構成にもそれが表れています。日本ゴルフ場経営者協会によると、2025年度の70歳以上(利用税の非課税対象)の利用者数は2,064.7万回で全体の約24%。同協会は、約20年以上にわたり全体の減少を補ってきたこの層が前年度比0.7%減となり、減少傾向に転じたと明記しています。団塊世代の全員が後期高齢者に移行する「2025年問題」で大幅な減少が始まると危惧された年でしたが、全体としては横ばいで踏みとどまりました。
定義: 一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(NGK)が毎年公表する「ゴルフ場利用税の課税状況からみたゴルフ場数、延利用者数、利用税額等の推移」の『延利用者数合計』。全国の都道府県に対するゴルフ場利用税(1988年度以前は娯楽施設利用税)の納税報告から集計した、年度単位の全国ゴルフ場延べ利用者数で、**課税者数と非課税者数(2003年4月の非課税措置施行以降の18歳未満・70歳以上・障害者等)を合算した総数**。同一人物が年に複数回プレーすればその回数だけ数える延べ人数であり、ゴルフ参加人口(実人数)ではない。
注: 年度の区切りは都道府県への納税報告ベースのため、実際のプレー実行月は各年度とも3月〜翌年2月(例: 2024年度=2024年3月〜2025年2月のプレー分)。暦年でも4月〜翌3月でもない。
注: 1957〜1988年度は娯楽施設利用税、1989年度(平成元年度)以降はゴルフ場利用税の課税状況に基づく集計。税目が切り替わる1989年度を系列断絶年として扱う。
注: 隣接都府県にまたがるゴルフ場が18か所あり、ゴルフ場数・利用者数が重複計上されている場合がある(原典 注4)。
注: ゴルフ場利用税が課されないゴルフ場(課税対象外の施設)は含まない。ショートコース等の取り扱いは原典の課税実務に従う。
注: 原典の単位は千人。本系列は10で除して万人に換算している(例: 87,502千人=8,750.2万人)。
注: 2003年4月1日からゴルフ場利用税の非課税措置(18歳未満・70歳以上・障害者等)が施行され、2003年度以降は『延利用者数合計=課税者数+非課税者数』。2002年度以前は非課税区分が存在しないため合計=課税者数に相当する。合計値としては連続しているが、課税者数だけを他資料と比較する場合は注意。
注: 2025年度の値のみ NGK News の年間速報値(2026年5月26日公表)。確報(年次推移表の2025年版)で微修正される可能性がある(2024年度は速報87,551千人→確報87,502千人)。
注: 経済産業省『特定サービス産業動態統計調査』のゴルフ場利用者数は調査対象事業所の合計であり全国の総数ではないため、本系列には混在させていない。
施設数がほとんど減らないまま業界が調整された理由は、経営主体が入れ替わったからです。時系列で整理します。
| 時期 | 起きたこと |
|---|---|
| 1980年代後半〜1990年代前半 | 開発ラッシュ。多くのコースが預託金会員制で建設資金を調達した |
| 1990年代後半〜2000年代前半 | 会員権相場の下落と預託金の償還請求が集中。ゴルフ場の倒産は2002年の108件がピーク |
| 2001〜2003年 | 専業の運営会社が参入。パシフィックゴルフマネージメント(PGM)が2001年に取得・運営事業を開始、アコーディア・ゴルフが2002年12月に運営受託事業を開始 |
| 2006〜2022年 | アコーディアが2006年11月に東証一部上場、2017年3月にMBKパートナーズ傘下で上場廃止、2022年1月にフォートレス・インベストメント・グループへ株式譲渡 |
| 2025年1月 | 平和がアコーディアの親会社株式を5,100億円で取得。国内321コースの最大手グループが誕生した |
預託金会員制は、入会時に会員が預けた資金を建設費に充て、据置期間の経過後に返還請求できる仕組みです。会員権相場が上がっているあいだは返還請求が起きにくい一方、相場が崩れると請求が一気に集中します。この償還負担が経営を圧迫し、民事再生手続のなかで預託金の一部が切り捨てられる処理が広く行われました。国税庁が「ゴルフ会員権の預託金の一部が切り捨てられた場合の取扱い」を質疑応答事例として示していることが、この処理が例外ではなかったことを裏づけています。
一季出版『隔日刊ゴルフ特信』の2025年4月1日時点の集計では、上位グループは次のとおりです。
| 順位 | グループ | コース数 | ホール数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 平和グループ(アコーディア172+PGM149) | 321 | 6,822 |
| 2 | 市川ゴルフ興業グループ | 30 | 567 |
| 3 | 西武グループ | 19 | 423 |
| 4 | 東急グループ | 19 | 387 |
1位と2位の差は10倍以上で、上位1グループだけで全国の営業中コースのおよそ15%を占めます。ただしアコーディア・ゴルフは親会社株式の取得発表時点で「双方のゴルフ場運営の統合は想定していない」と表明しており、2社は平和の傘下で別々のブランドとして運営されています。最新の会社公表値ではアコーディア172コース(2026年3月31日現在)、PGM150ゴルフ場・18ホール換算181.5コース(2026年6月1日現在)です。
帝国データバンクの「ゴルフ場業界」動向調査(2024年度・2025年12月1日公表)によると、ゴルフ場業界の市場規模は8,100億円で前年度比3.0%増、4年連続の増加となり、8,000億円台の回復は2018年度以来6年ぶりでした。損益面の改善はさらに鮮明です。
| 年度 | 赤字企業の割合 |
|---|---|
| 2011年度 | 52.0% |
| 2020年度 | 47.5% |
| 2024年度 | 24.7% |
同調査は2024年度の赤字企業割合について、前年度からは上昇したものの4年連続で20%台にとどまったとしています。ゴルフ場の倒産件数も、ピークの2002年(108件)とはまったく異なる水準になりました。参考までに、帝国データバンクの2018年調査では2017年の倒産が12件、2018年は4月時点で13件と報告されています。
延べ利用者数は横ばいですから、伸びているのは単価側です。同調査は市場拡大の要因としてプレー料金の戦略的な値上げと、円安を背景としたインバウンド需要の急回復を挙げています。
単価の実額は上場企業の開示から確認できます。平和の2026年3月期決算説明資料では、ゴルフ事業の客単価は9,680円(アコーディアを合算した参考ベースで前年度9,495円から1.9%増)、来場者数は2,170.3万人(同2.4%増)でした。来場者数の伸びより単価の伸びが小さいのが現状で、値上げが一気に進んでいるわけではありません。
同じ帝国データバンクの調査は、費用面の課題として次を挙げています。
ここからは解釈です。装置産業であるゴルフ場は、来場者が増えても人と設備を比例して増やせません。単価とコストの両方が上がる局面では、値上げの余地がある立地と、そうでない立地の差が開きやすくなります。
インバウンドについては、ゴルフ場利用に限った全国統計は公表されていません。確認できるのは全体像だけで、観光庁のインバウンド消費動向調査によると2025年暦年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円(前年比16.4%増)と暦年で過去最高でした。ゴルフ場への波及は業界調査の定性的な指摘にとどまる、というのが正確な現状です。
このページの主要データは、日本ゴルフ場経営者協会がゴルフ場利用税の課税状況から集計したものです。まず税そのものの仕組みを押さえると、数字の性格がわかります。総務省の説明によると、ゴルフ場利用税は都道府県が課す普通税で、納税義務者はゴルフ場の利用者。標準税率は1人1日800円、制限税率は1,200円で、都道府県はゴルフ場の整備状況等に応じて税率に差を設けられます。税収の10分の7はゴルフ場が所在する市町村に交付されます。平成15年度に非課税措置が創設され、18歳未満・70歳以上・障害者、国体や国際競技大会のゴルフ競技、学校の教育活動は課税されません。
この制度を踏まえたうえで、本ページの数字には次の注意点があります。
同じ「ゴルフ場の数」でも、集計主体と基準によって値が変わります。混ぜて使わないための対応表です。
| 呼び名 | 出典 | 何を数えたか | 直近値 |
|---|---|---|---|
| ゴルフ場数(利用税ベース) | 日本ゴルフ場経営者協会 | 年度中に納税報告があった施設数 | 2,172か所(2024年度) |
| 営業中ゴルフ場数 | 一季出版『ゴルフ特信』 | 実地調査で4月中旬時点に営業中のコース数 | 2,110コース(2025年4月中旬) |
| 18ホール換算コース数 | 各社の会社公表値 | ホール数を18で割った換算値 | 例: PGM150ゴルフ場=181.5コース |
| 延べ利用者数 | 日本ゴルフ場経営者協会 | 課税者+非課税者のプレー回数(年度) | 8,749.8万回(2025年度速報) |
| ゴルフ参加人口 | 日本生産性本部『レジャー白書』 | 年1回以上プレーした推計人数(暦年) | 480万人(2024年) |
利用税ベースの2,172か所と営業中の2,110コースに約60の差があるのは、集計時点(年度通期か4月中旬時点か)と、課税報告ベースか営業実態ベースかの違いによるものです。どちらかが誤りというわけではありません。
混同しやすい数字も挙げておきます。
なお2025年度のゴルフ場数は、年次推移表の2025年版が未公表のため本ページにはまだ入っていません。例年10〜11月に公表されるため、公表され次第、追記します。
本ページの図表・数表は、出典を明記のうえ転載・引用いただけます(例: 「ゴルフスケール(golfscale.jp)調べ・原典: 各出典欄参照」)。数値の原典は各表の出典欄のとおりです。データの更新・訂正が入る場合があるため、引用時は本ページの URL の併記をおすすめします。
日本ゴルフ場経営者協会がゴルフ場利用税の課税状況から集計した2024年度の全国ゴルフ場数は2,172か所です。一方、一季出版『ゴルフ特信』の実地調査による2025年4月中旬時点の営業中ゴルフ場数は2,110コースでした。集計時点と基準(課税報告か営業実態か)が違うため、約60の差があります。どちらも18ホール換算ではなく施設の数です。
利用税ベースでは2002年度の2,460か所がピークです。株価のピーク(1989年)から13年遅れているのは、バブル期に計画・認可されたコースが崩壊後も次々に開場したためです。2003年度以降は2009年度の微増を除きほぼ毎年減少し、2024年度は2,172か所(ピーク比11.7%減)となっています。
東京商工リサーチによると、ゴルフ場の倒産は2002年の108件がピークでした。その後は大きく減り、帝国データバンクの調査では2017年が12件、2018年は4月時点で13件。2020年は1〜9月で1件にとどまっています。帝国データバンクの2024年度調査では赤字企業の割合が24.7%と、2011年度の52.0%から大きく改善しています。
延べ利用者数はプレーの回数、ゴルフ人口は人数です。同じ人が年に20回プレーすれば、延べ利用者数では20と数えます。2025年度の延べ利用者数は8,749.8万回(速報)で、2024年のゴルフ参加人口は480万人(『レジャー白書2025』)。桁が違うのはこのためで、両者を同じ意味で使うことはできません。
会社としては別々のままです。2025年1月に平和がアコーディア・ゴルフの親会社株式を取得し、アコーディアとPGMは同じ平和グループに属することになりましたが、アコーディアは発表時に「双方のゴルフ場運営の統合は想定していない」と表明しています。2社を合わせたグループの保有コース数は321コース(2025年4月1日時点、一季出版集計)で、国内最大です。
一季出版『ゴルフ特信』の調査では、閉鎖後の転用先としてメガソーラーやバイオマス発電が挙げられており、東日本大震災を契機に太陽光発電への転用が増えたと報告されています。一方でコース改造のための一時的な閉鎖もあり、2025年4月中旬時点の暫定閉鎖47コースには、クラブハウス建替えやコース改修による休業も含まれます。
上がっています。帝国データバンクの2024年度調査は、市場規模が4年連続で拡大した要因として「プレー料金の戦略的な値上げ」を挙げています。実額としては、平和の2026年3月期決算説明資料でゴルフ事業の客単価が9,680円(アコーディアを合算した参考ベースで前年度比1.9%増)と開示されています。ただし人件費・エネルギー・資材のコストも同時に上がっており、値上げがそのまま利益になるわけではありません。
最終更新: 2026-08-03