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止まっている球が動いたとき

アドレスした瞬間に球がコロッと動いた、風で球が転がった、探していて足が触れて動かしてしまった——止まっている球が動く場面は意外とよく起こります。ここで迷うのが「罰はつくのか」「元に戻すのか、そのまま打つのか」。 この記事は、止まっている球が動いたときの処置(規則9)を、まず原則を押さえ、次に『誰が・何が動かしたか』で場合分けして整理します。グリーン上で偶然動かした詳しい扱いは別記事に譲ります。

球が動いた原因別の処置:風や水/自分やキャディ/他人や動物/原因不明
動かした原因で処置が決まります。分からなければ自然の力(罰なし)扱い。

原則は「あるがまま」——まず動いたかどうか

ゴルフの大原則は 「球はあるがままにプレー」(規則9.1)です。コース上に止まっている球は、規則が認める場合を除き、止まった所からそのままプレーします(規則9.1a)。

もう一つ大切なのが、ストロークやそのためのバックスイングを始めた後に球が動き始め、そのまま打った場合です。このときは動いた原因に関係なく、球をリプレースせず、ストローク後に止まった所からプレーします(規則9.1b)。

そして見落としがちなのが「そもそも動いたのか」の判定です。球が動いたとみなされるのは、動いたことが 「分かっている、または事実上確実」 なときだけ(規則9.2a)。少し揺れたように見えても、確実でなければ動いていないものとして、あるがままにプレーします。

動いた原因を決める(4つの要因)

止まっていた球が動いたら、次にやることは 「誰が・何が動かしたか」を決めることです。これによって、元の箇所にリプレースするのか/あるがままにプレーするのか/罰があるのかが決まります(規則9.2b)。

規則は、原因の可能性を次の 4つ に限定しています。

動かした原因 処置
自然の力(風・水など) 罰なし 新しい箇所からプレー(規則9.3)
プレーヤー側(自分・キャディー) 原則1罰打 元の箇所にリプレース(規則9.4)
相手側(マッチプレーの相手・そのキャディー) 相手に1罰打 元の箇所にリプレース(規則9.5)
外的影響(他人・動物・ストロークプレーの他のプレーヤーなど) 罰なし 元の箇所にリプレース(規則9.6)

判定の基準は、ここでも 「分かっている、または事実上確実」 です。プレーヤー側・相手側・外的影響のどれかが原因だと確実でない場合は、自然の力が動かしたものとして扱います(規則9.2b)。つまり「誰のせいか分からない」ときは自然の力=罰なし、というのが基本です。

風や水で動いた球(自然の力)

風や水などの自然の力で止まっている球が動いた場合は、罰はありません。そして球を元に戻さず、動いた先(新しい箇所)からそのままプレーします(規則9.3)。

うっかり「元の位置に戻して打つ」と、今度は誤所からのプレーになり一般の罰(ストロークプレーで2罰打)を受けてしまうので、戻さないのがポイントです。

ただし、グリーン上で一度マークして拾い上げ、リプレースした後の球が自然の力で動いた場合は例外で、元の箇所にリプレースします(規則13.1d)。「拾い上げてリプレースした後かどうか」で扱いが変わる点に注意してください。

自分やキャディーが動かした球(と罰なしの例外)

球を動かして1罰打+リプレースになる場合(自分やキャディが動かした)と、罰なし+リプレースの例外(捜索中・グリーン上・規則の行動中・外的影響)の対比
球を動かしたときに罰がつく場合と、罰がつかない例外の対比。

自分(またはキャディー)が球を拾い上げた・動かしたことが「分かっている、または事実上確実」な場合は、1罰打を受け、球を元の箇所にリプレースします(規則9.4)。リプレースせずそのまま誤所から打つと、罰が一般の罰(2罰打)に変わってしまうので、必ず元へ戻します。

ただし、次のような場合は 罰がつきません(規則9.4bの例外)。

なお、他人や動物などの外的影響が動かした球は、罰なしで元の箇所にリプレースします(規則9.6)。マッチプレーで相手が動かしたときも罰なしでリプレース(相手側には1罰打。規則9.5)です。

グリーン上で偶然動かした球の詳しい扱いは、次の記事で整理しています。

よくある誤解 → 正しい理解

✗ よくある誤解風で転がった球を、わざわざ元の位置に戻してから打つ。
○ 正しい理解自然の力で動いた球は罰なしで、動いた先からそのままプレーする(規則9.3)。戻して打つと誤所からのプレーで一般の罰になる。
✗ よくある誤解アドレスして構えたら球が動いた。自分のせいだと思い込み、1罰打をつけて打つ。
○ 正しい理解動いた原因が自分やキャディーと『分かっている・事実上確実』なときだけ1罰打+リプレース。原因が特定できなければ自然の力扱いで罰なし(規則9.2b・9.3)。
✗ よくある誤解球を探していて足が触れて動かした。1罰打だと思って加える。
○ 正しい理解捜索・確認している間の偶然の動きは罰なし。球を元の箇所にリプレースして続ける(規則7.4・9.4b例外)。
✗ よくある誤解ストロークプレーで同伴者が誤って自分の球を蹴って動かした。動かした人に罰がつくと思う。
○ 正しい理解外的影響が動かした球は罰なし。元の箇所にリプレースしてプレーを続ける(規則9.6)。

よくある質問

アドレスした後に球が動いたら罰打ですか?

動いた原因が自分やキャディーにあると『分かっている、または事実上確実』なときだけ1罰打を受け、元の箇所にリプレースします(規則9.4)。2019年の改正で『アドレス後に動いたら自動的にプレーヤーが原因』という旧規定は廃止されました。原因が特定できなければ自然の力が動かしたものとして扱い、罰なしで新しい箇所からプレーします(規則9.2b・9.3)。

風で球が動いたら、元の位置に戻して打つのですか?

いいえ。自然の力(風・水など)で動いた球は罰なしで、動いた先(新しい箇所)からそのままプレーします(規則9.3)。戻して打つとかえって誤所からのプレーで罰がつきます。ただし、グリーン上で一度マークして拾い上げ・リプレースした後の球が動いた場合は、例外として元の箇所にリプレースします(規則13.1d)。

球を探していて自分が動かしてしまったら罰打ですか?

球を捜索・確認している間に偶然動かしたのであれば、罰はありません。球を元の箇所にリプレースして続けます(規則7.4・規則9.4bの例外)。

自分でうっかり球を蹴って動かしたら?

自分やキャディーが動かしたことが確実なら1罰打を加え、元の箇所にリプレースします(規則9.4)。リプレースせずそのまま誤所から打つと、罰が一般の罰(2罰打)に変わってしまうので、必ず元の位置に戻してから打ちます。

グリーンの上で偶然球を動かしたときも罰打ですか?

いいえ。パッティンググリーン上では、偶然に球やボールマーカーを動かしても罰はなく、元の箇所にリプレースします(規則13.1d)。グリーン上の扱いは特例が多いので、詳しくは『グリーンの規則』にまとめています。

関連するルール

出典・公式リンク

最終更新: 2026-06-09