グリップの素材は、握り心地と、雨や手汗のときの滑りにくさを決めるスペックです。標準のラバーに対し、布を織り込んだコードは雨・汗に強くしっかり、PU・合成系は柔らかくしっとり、エラストマー(樹脂)は水を吸わずタックが続きます。天候と手汗、そして好みの感触で選べば、滑りの不安はぐっと減ります。
まずはこの5つを押さえれば、グリップ素材が握り心地と滑りにどう効くかの大枠がつかめます。
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グリップ素材とは、手で握る部分が何でできているか、その材質のことです。太さ(外径)や重さとは別の軸で、同じ太さ・重さのグリップでも素材が違えば握り心地(柔らかさ・タック=吸い付き感)や、雨・汗をかいたときの滑りにくさが変わります。市販グリップの素材は、大きく次の4系統に整理できます。
最も一般的で、多くの市販クラブに最初から装着されている基準の素材です。合成ゴムをベースにした素材で、適度な柔らかさとフィードバック(打感の伝わり)を備え、コスト・耐久・握り心地のバランスがよいのが特長です。たとえばゴルフプライドの定番「ツアーベルベット」は、公式に「state-of-the-art rubber-blend compound(最新のラバーブレンド・コンパウンド)」と説明される“ラバーの標準”で、コンフォートと適度なフィードバックを狙った素材です。迷ったらまずラバー、という位置づけです。
ラバーの中に布の繊維(コットンコードなど)を織り込んだ素材です。表面にザラッとした繊維が出ることで摩擦が増し、雨や手汗で濡れてもしっかりと食いつくのが最大の持ち味です。ゴルフプライドの代表モデル「MCC プラス4」は、上側(左手側)に“ブラッシュド・コットンコード”を使い、公式に「moisture-wicking cotton fibers(汗を吸い上げる綿繊維)で、汗をかきやすいゴルファーに最適」と説明しています。布が手汗・水分を逃がしつつ繊維で食いつくため、ウェット性能が高い反面、握り心地はラバーよりやや硬め・ザラつきがあります。
ポリウレタンなどの合成素材を用い、柔らかく、しっとりとしたタック(吸い付き)を持たせたタイプです。各社が独自配合(合成コンパウンド)でやわらかさとタック感を作り込んでおり、ラバーより手に吸い付くような握り心地を好む人に向きます。パターグリップやツアー系の多層グリップで多用される系統で、柔らかい打感・しっとり感を重視する人の選択肢になります。
ゴムではなく樹脂(エラストマー)を素材にしたタイプです。代表格のイオミックは、防水性のエラストマー(同社の独自素材)を高圧成形で作っており、水を吸わずタック(吸い付き)が持続するのが特徴です。濡れても拭けば元のスティッキー(吸い付く)感触が戻る、とされます。色のバリエーションが豊富で、しっとり・もっちりした独特の握り心地が好まれます。
なお、上記を組み合わせたハイブリッド(部位で素材を変える)もあります。手が当たる上側にコード、感触を出したい下側にラバー/合成、というように1本の中で素材を使い分け、ウェット性能と握り心地を両立させる設計です(前述のMCCプラス4がこの考え方の代表例)。
グリップ素材が変わると、主に①握り心地(柔らかさ・タック)、②雨・汗での滑りにくさ(ウェット性能)、③耐久(へたり・硬化のしにくさ)の3点が変わります。順に見ていきましょう。
ラバーは適度な柔らかさと“ほどよい”フィードバックでクセが少なく、標準的な握り心地です。PU・合成系はこれより柔らかく、しっとりとタックのある握り心地に振ったものが多く、手に吸い付く感覚を好む人に向きます。エラストマー(樹脂)はもっちり・しっとりした独特の感触で、タックが強めに出るのが特徴です。コードは布繊維が表面に出るぶんやや硬め・ザラつきのある握り心地になり、「しっかり感」を好む人に合います。柔らかいほど打感はマイルドに、硬め(コード)ほど操作している感覚が手に伝わりやすい、という傾向があります。
濡れたときに最も頼りになるのは、表面の繊維で食いつくコードです。布が水分・汗を逃がしつつ摩擦を稼ぐため、雨天や汗かきの人で威力を発揮します。エラストマー(樹脂)も発想は違いますが強く、そもそも水を吸わないため、濡れても拭けばタックが戻るとされます。一方、標準的なラバーや柔らかいPU・合成系は乾いた状態では快適ですが、濡れると相対的に滑りやすくなる傾向があります(雨用にコードや樹脂を選ぶ理由はここにあります)。
どの素材も、紫外線・皮脂・汗・摩耗によって時間とともに硬化し、表面がテカって滑りやすくなっていきます。硬化したグリップは見た目が大丈夫でも食いつきが落ち、無意識に強く握る→力みやミスにつながります。素材ごとに劣化の出方は異なりますが(コードは繊維のすり減り、ラバー・合成は硬化やテカり)、「滑る」と感じたら素材選び以前に交換時期、と考えるのが基本です。一般に半年〜1年、またはラウンド頻度が高ければそれより早い交換が目安とされます。
| 軸 | ラバー | コード(布混) | PU・合成 | エラストマー(樹脂) |
|---|---|---|---|---|
| 握り心地 | 標準・クセ少 | やや硬め・ザラつき | 柔らかくしっとり | もっちり・タック強め |
| 雨・汗(ウェット) | 標準 | 非常に強い | やや弱め〜標準 | 強い(吸水しない) |
| フィードバック | ほどよい | しっかり伝わる | マイルド | マイルド〜独特 |
| 向いている人 | 迷ったら標準で | 汗かき・雨が多い | 柔らかさ・タック重視 | 吸い付き・色・個性重視 |
ここでは4系統それぞれを、特徴・ツアーでの使われ方・ウェット性能の観点でもう少し掘り下げます。
合成ゴムをベースにした最も普及している素材。コストと耐久のバランスがよく、握り心地のクセも少ないため、市販クラブの“最初から付いているグリップ”の多くがこれです。プロからアマチュアまで最も幅広く使われる土台で、ゴルフプライドのツアーベルベットのように「迷ったらこれ」という定番が各社にあります。柔らかさ違い(ソフト系)やタック違いなどバリエーションも豊富で、まずは基準として握ってみる価値があります。
布繊維を織り込み、雨・汗に最も強い系統。表面のザラつきで食いつくため、悪天候のラウンドが多い人、手汗が多い人に向きます。ツアーでも雨・湿度の高いコンディションを想定して採用する選手が多く、「フルコード(全体に布)」と、手が当たる上側だけコードにした「ハーフコード/ハイブリッド」があります。フルコードはウェット性能最優先、ハイブリッドはウェット性能と下側の握り心地を両立、という住み分けです。握り心地は硬め・ザラつき寄りなので、柔らかさを求める人は好みが分かれます。
合成コンパウンドで柔らかさ・しっとりしたタックを作り込んだ系統。各社が独自配合でやわらかさと耐久・タック持続を両立させており、温度や天候が変わってもタック感が安定するタイプもあります。マイルドな打感と吸い付く握りを好む人、手の負担を抑えたい人に向きます。多層構造(部位で硬さや素材を変える)で、トラクション(食いつき)と柔らかさを部位ごとに最適化したモデルも増えています。
ゴムではなく樹脂を使う、ややニッチだが個性の強い系統。イオミックが代表で、防水エラストマーにより水を吸わずタックが持続し、濡れても拭けば感触が戻るのが売りです。カラーバリエーションが非常に豊富で、見た目の個性でも選ばれます。もっちりした独特の握り心地はハマる人にはハマる一方、ラバーやコードとは感触が大きく異なるため、購入前に握って確かめるのが安心です。参考までに、イオミックの定番「Sticky 2.3」は公式スペックでコアサイズM60・重量約50g・トルク2.7とされています(標準サイズ)。
素材選びは、①雨・手汗などコンディション(滑りにくさ優先か)と②好みの握り心地(柔らかさ・タック)の2軸で考えると整理しやすくなります。まず滑りの不安があるかで方向を決め、そのうえで感触の好みで詰めていきます。
手汗が多い、雨のラウンドが多い、握ると滑る不安がある——という人は、コードが第一候補です。布繊維が水分を逃がしつつ食いつくため、ウェット時の安心感が高くなります。さらに濡れても感触が戻るエラストマー(樹脂)も有力です。全体の食いつき重視ならフルコード、下側の握り心地も残したいなら上側コードのハイブリッドが使いやすい選択です。
マイルドな打感や吸い付く握りが好きなら、PU・合成系やソフト系のラバーが向きます。エラストマーのもっちり感が好みに合う人もいます。ただし柔らかい・タックが強い素材は、雨で濡れたときのウェット性能ではコードに一歩譲ることが多いので、雨対策が必要な人は割り切りが要ります。
滑りの不安が特になく、まず基準を知りたいならラバーでOKです。クセが少なくコスパもよいので、ここを起点に「もう少し柔らかく」「雨に強く」と好みの方向へ寄せていくのが失敗の少ない進め方です。
素材を変えると、太さ・重量・口径(コアサイズ)はモデルごとに異なる点に注意します。素材だけを基準に選んでも、太さや重さが合っていなければ握り心地は変わってしまいます。素材は“握り心地と滑りの方向性”を決める軸、太さ・重さは“フィットと球筋・バランス”の軸、と分けて考え、最終的には実際に握って感触を確かめるのが確実です。
グリップ素材にも、思い込みで損をしがちな“あるある”があります。整理しておきましょう。
コードはザラつきがあり“硬派”な見た目から上級者向けと思われがちですが、本質は雨・汗で滑りにくいことです。むしろ手汗で滑る不安がある初心者・アベレージゴルファーにこそ恩恵が大きい素材です。実際、上側だけコードにしたハイブリッドは下側の握り心地も柔らかく、幅広い層が使えるように作られています。レベルではなく手汗・天候で選ぶのが正解です。
どんな素材も、使ううちに皮脂・汗・紫外線・摩耗で硬化しテカって滑りやすくなります。「まだ使える」と古いグリップを放置すると、食いつきが落ちて無意識に強く握り、力みやミスを招きます。新しい素材に替える前に、まず今のグリップが劣化していないかを疑いましょう。滑ると感じたら、素材選び以前に交換のサインです(目安は半年〜1年、ラウンドが多ければより早く)。
しっとり吸い付くタックの強さと、濡れたときの滑りにくさ(ウェット性能)は別物です。乾いた手で気持ちよく吸い付くPU・合成系でも、濡れると性能が落ちることがあります。雨・汗対策が目的なら、タックの強さではなくコードや吸水しないエラストマーを基準に選びましょう。
握り心地は素材だけでなく、太さ・表面のテクスチャー・硬さ(ソフト/ファーム)の組み合わせで決まります。「ラバーだから」「コードだから」と一括りにせず、同じ素材系でも柔らかさやテクスチャー違いがあることを前提に、最終的には実際に握って選ぶのが確実です。
布繊維を織り込んだコード(コットンコード)が最も雨・汗に強く、第一候補です。表面のザラつきで濡れても食いつきます。水を吸わずタックが戻るエラストマー(樹脂)も有力です。全体の食いつき重視ならフルコード、下側の握り心地も残したいなら上側だけコードのハイブリッドが使いやすい選択です。
ラバーは標準でクセが少なくコスパ良好、コードは布混で雨・汗に強い反面やや硬め、PU・合成系は柔らかくしっとりしたタック、エラストマー(樹脂)は水を吸わずタックが持続するのが特徴です。握り心地と滑りにくさのバランスが素材ごとに異なります。
いいえ。コードの本質は雨・汗での滑りにくさで、手汗で滑る不安がある初心者・アベレージゴルファーにこそ向きます。上側だけコードのハイブリッドは下側の握り心地も柔らかく、幅広い層が使えます。レベルではなく手汗・天候で選ぶのがおすすめです。
PU・合成系や、ソフトタイプのラバーが向きます。手に吸い付くタックを重視するならエラストマー(樹脂)も選択肢です。ただし柔らかい・タックが強い素材は、濡れたときのウェット性能ではコードに一歩譲ることが多い点は意識しておきましょう。
まず劣化(硬化)を疑ってください。どの素材も使ううちに皮脂・汗・紫外線で硬化し、表面がテカって滑ります。見た目が大丈夫でも食いつきは落ちます。素材を替える前に、まず新しいグリップへ交換するのが基本です(目安は半年〜1年、ラウンドが多ければより早く)。
いいえ。素材は握り心地と滑りの方向性を決める軸で、太さ(手首の返り・フィット)や重さ(手元の重量バランス=スイングウェイト)は別の軸です。素材が好みでも太さ・重さが合っていないと握り心地は変わるため、両方を合わせて選びましょう。
最終更新: 2026-06-05